yoga school kailas

愛とダルマ


「愛とダルマ」

(「実写版・ラーマーヤナ」より)

ジャナカ王「ラーマ殿とバラタ殿・・・・・・このお二人のどちらが正しいかなど、ブラフマー神でも決めかねます。
 ところが、私はただの人間に過ぎません。
 一方はダルマの極致であり・・・・・・
 もう一方は、愛の究極的な権化である。
 このような偉大なる魂の戦いの勝敗を判断することなど、不可能であります。
 しかしこのような状況の下・・・・・・私はこれを己の重大なるダルマとして見なし、シヴァ大神にお導きを求め、礼拝し奉ります。
 どうか、主が私に、正しき方向をお示しにならんことを・・・・・・

 ラーマよ、あなたの断固たるダルマの遵守は、神々でも頭を下げるほどのものであります。

 ダルマは、世界を維持する最も大きな力・・・・・・

 聖典には、ダルマより偉大なものは三界に存在しないと説かれています。

 我々は皆それに制約されています。

 しかし、愛(プレーマ)だけは、如何なるダルマであろうとも超えることのできない唯一の神聖なる理。

 忠実なる愛、無私の愛・・・・・・それは一切のダルマの上に君臨するのです。

 その愛が真の信仰の形をとって、その頂点に達するとき・・・・・・至高主ご自身が、その自らの法を破らざるをえなくなります。
 神は創造の一切の法則を破り、その帰依者の前に手を合わせて立つでしょう。
 神は彼の信仰の栄光を守護しなければならないのです。

 ゆえに、天秤はバラタの側に傾いております。

 ラーマよ、バラタの愛は、忠実で無私である。

 彼のあなたへの信仰心は、比類なきものです。

 バラタよ、あなたの愛の勝利である。

 ・・・・・・しかし、忘れてはいけない・・・・・・
 愛には、遵守されるべき法が存在する。

 愛にはそれ自体の法則があるのです。

 愛の真の力は、それが無私である所に存在する。

 愛が無私であるならば、そこには何の要求もありません。

 ただ愛する御方に捧げたいという思いしかないのです。

 愛する御方の幸福と喜びのために、彼はすべてを喜んで放棄するでしょう。

 ゆえにあなたは今、ラーマに捧げるものを決めなければなりません。」

バラタ「王よ、命より大きなものはありますまい。
 私はラーマ様のために、命を捧げることができます。」

ジャナカ王「死ぬのは容易きこと。
 しかし、愛する御方のためだけに生きることは、多くの困難が付きまといます。
 あなたが真の帰依者ならば、ラーマ殿の御足の下に座り、彼がお喜びになることを尋ねてみなさい。
 そして彼の願いが何であっても、彼への礼拝として、それを為すのです。」

バラタ「王よ・・・・・・
 あなたは私の眼から、利己性というヴェールを取り除いてくださいました。
 今まで私は、自分の愛と栄光だけを考え、それが真の愛であると思っていました。
 それでもあなたは私に勝利を与え、真の信仰心をも与えてくださいました。
 私はあなたのこの慈愛に、永遠に感謝いたします。

 兄上・・・・・・
 兄上・・・・・・あなたのご意思を私にご命令ください。」

ラーマ「勝者が地面などに座ってはならぬぞ。
 弟よ・・・・・・お前の愛は今日、私を打ち負かしたのだ。
 私はお前の望むように、王国を受け入れよう。

 しかし、父君の誓いを破らないよう、お前に懇願する・・・・・・
 十四年間、私の統治する王国を管理しておくれ。」

バラタ「しかし私は無智です!
 国の管理などできませぬ・・・・・・」

ラーマ「グルや、スマントラを始めとする他の大臣方が助けてくださる。
 グルの命に従えば、それは難しいことではない。
 すべての仕事が容易くなるであろう。
 十四年後の帰還の後に、私はもう一度王冠を要求しよう。」

バラタ「兄よ・・・・・・あなたは本当に私心がなく・・・・・・愛の報いなど微塵も求めてはいません。」

ラーマ「愛とは、完全に自己を明け渡すことなのだよ。」

share

  • Twitterにシェアする
  • Facebookにシェアする
  • Lineにシェアする