忍辱
誰かに害されて、もしそれに怒りを発したとしても、なされたことを除けようか? 故に、害されて怒るのは全く意味がない。
害されることで、自分が以前になした悪業が消滅する。
それなのに、他人を害し怒って、さらなる苦しみの種をどうして再び蒔くのか?
もし菩薩に対して怒ったならば、100カルパに渡って積んだ功徳も一瞬で滅ぼされる。
耐え忍ばないこと以上の罪はない。
耐え忍ばずに怒るならば、醜い姿となり、貴くないことを招く。真理と非真理をわきまえる識別力が奪われ、悪趣に放り込まれる。
忍辱するならば、美しくなり、聖者に愛され、真理と非真理を知って賢者となり、人間や神として生まれて罪悪が消え去る。
このように怒りのデメリットと忍辱のメリットを知って、怒りを捨て、聖者が称える忍辱に常に親しみなさい。
――チャンドラキールティ