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勉強会講話より「解説『至高のバクティ』」第4回 「バクティ」④(9)

 で、ここで言ってる聖なる師っていうのは、これも何度か言っているけど、実際は聖なる師じゃないんです。実際は、やっているのは至高者なんです。皆さんに分かりやすく言うとね。実際にはクリシュナやシヴァやラーマがやっているんです。それが皆さんの前での現われが師なんだね。
 この今言った『理解し難い』という話は、皆さんが、そうですね、修行が進めば進むほど、あるいは師との縁が強まれば強まるほど、理解し難くなります。というか、理解し難い課題が現われるようになります。だから最初の方が理解しやすい。最初の方は「ああ、なるほどなるほど、そうですよね」という感じで納得するように進むんだけど、だんだん至高者の皆さんの導きがストレートになってくる。
 これも何度かこういう話しているけどね。つまりつまり実際にはこうやっちゃった方が早いってのがあるんだね。こうやっちゃった方が早いけども、でもこれは誰もできないというか。できないというのは、理解できない。「なんでこうやんなきゃいけないんだ?」っていうのが、理解できないことが多々ある。だからわれわれはほんとに、いつも言うように、本当に教えをきっちり学ぶと同時に、最初にも言ったようにね、柔軟な思考を持ってなきゃいけない。教えはただの教えであって。それはもちろんわれわれの心をしっかりと規定するために大事なんだけども、でも答えではない。答えは意外なところにあったりする。あるいは答えは全く――いつも言うように、馬と柿ほどに違うように(笑)、全く想像の範囲外にあったりする。で、それをうまく導いてくれるのが師なんだね。
 で、もちろん師が上手く導いてくれるといったって、弟子がついていかなかったら駄目ですよ。これはお釈迦様が言っているように――まあお釈迦様はもうちょっと顕教的な言い方しているわけだけど――お釈迦様は、「わたしは君たちに解脱の道を説いた」と。「しかしそれを実践し、得るかどうかは君たち次第だ」って言ったらしい。ちょっとこれは顕教的な表現ですけども、実際にはちょっと違う。ちょっと違うというのは、解脱の道を説いた、それを実践するかどうかはっていうのは、ちょっと放り投げた感があるよね。「はいこれやりなさい、これやれば解脱しますよ」と。「やんなかったら解脱しませんよ」「皆さんの自己責任ですよ」――これ、正しいんだけど、実際にはもうちょっと、至高者の現われである師と弟子の関係というのは、もうちょっと密接なんですね。つまり「これやれー」って言うんじゃなくて、例えば弟子が帰依をし始めた段階で生じるいろいろな出来事がある。いろいろな思いがある。
 あるいはさっきのティローパとナーローパの話みたいに、命令ではなくて――まああの話っていうのはさ、ポンポンポンと見るとコミカルな感じなんだけども、もうちょっと現実的に考えるとね、あれはちょっと極端な話だけどもさ、例えば修行法でもなく命令でもないけども、例えば師のことを考えてね、師の意向を考えて「師にこういうことをしてあげたいな」とか、あるいは「こういうことを望んでらっしゃるだろう」とか、あるいは「こういう供養をしたい」とか皆さん考えたりするよね。あるいは逆に自分のけがれが出て、師の存在によっていろんな苦しみが自分に生じることがあるかもしれない。そんないろいろなことがあって、で、その中でも自分なりのっていうかな、最高の帰依をとり続ける。あるいはしもべというか奉仕の道をとり続ける。これを何の不誠実さもなく貫けられるかどうか。この純粋な誠実な明け渡しの感覚を、何度も言うように、なんとなくイメージで表現されてる至高者だけではなくて、その現われとして見てる師に対してやり続けられることによって、自分のいろんなものが崩壊していきます。
 で、そのプロセスや意味っていうのが、やられている方、つまり弟子の方には……まあ普通はですよ、普通は理解できないんです。問題がまだ簡単なときはもうちょっと理解しやすいかもしれないけど。でもその理解というのも実は当たっていない場合がある。一応まあそういうことにしておいてあげるみたいな感じで。弟子が例えば、「あ、なるほど、わたしのこういうのを落とすために師はやって下さったんですね」と言われると師の方は「まあ面倒くさいからそれでいいよ」とね(笑)。「そういうことにしておいてあげる」って感じなんだね。でも実際は全然違ったりする。実際は違う狙いがあったりとか。まあもちろん狙いですらないんだけどね。師の側から言うと狙いですらなくて、至高者の現われとしてやっているだけなんだけど。これがなんていうかな――もう一回言うよ、皆さんと聖者との関係。あるいは特にその聖者の中でも皆さんと縁のある師との関係なんだね。

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