yoga school kailas

ルーイーパ

「84人の成就者たち」より

「ルーイーパ」

 グル・ルーイーパとは、彼が魚の腸を食べたことによる命名です。

 一人の王がいました。王国は財宝の神クベーラに負けないほど裕福でした。王には、宝石、真珠、金、銀などで飾られた王宮があっただけではなく、3人の息子がいました。
 この王が死んで間もなくして、占星術師にどの息子が王国を継承すべきかを相談しました。その占星術師は、
「二番目の御子息が王国を継承すれば、領土は強固となり、家来や領民たちが幸福になるでしょう。」
と発表しました。  
 そのため、父の王国を次男に継承させることになりました。
 本人は望んでいなかったにも関わらず、兄と弟は、家来たち全員と一緒になって、彼を王位継承者として即位させました。彼はそれを逃れようと試みましたが、兄弟と領民たちは彼をとらえ、金という鎖で拘束しました。
 そこで王は、護衛と家臣にわいろとして金と銀を配りました。夜、つぎはぎの衣をまとい、ラーマパーラ王の地であるラーメーシュワラへと赴きました。
 
 そこで彼はシルクで作られた床座を放棄し、黒い羊の皮の床座に座りました。また彼は王の寝室を放棄し、灰の中で眠りました。
 王は見た目が麗しかったので、誰もが食べ物と飲み物を分けてくれ、食事に事欠くことはありませんでした。
 その後、彼がブッダガヤーに行くと、そこでダーキニーたちが彼の面倒を見、教えを授けてくれました。
 次に、王の住まいであるシャーリプトラに行き、すべての人々から施された食物を食べ、火葬場に住みました。

 ある日、市場に向かい、酒売り女のところへ行きました。その酒売り女の女将は、在俗のダーキニーでした。ダーキニーは王を見てつぶやきました。
「この者は四つのチャクラの汚れなどすべてが浄められているが、心臓にはまだ米粒一つほどの『階級への分別』のけがれがある。」

 ダーキニーはつぼの中に腐った食物を入れて、彼に渡しました。王がそれを投げ捨てたので、ダーキニーは怒りました。
「食物の善し悪しの分別を捨てないならば、どうしてあなたは教えにふさわしかろうか!」

 分別および外面的な相への執着は、悟りへの妨げになることを悟り、王はそれらを振り棄てました。彼は、漁師がガンジス河で捨てた魚のはらわたを取り、12年に及ぶ修行期間の間は、それを食べました。
 魚市場の女性たちが、魚の内臓を食べている彼を見て、ルーイ―パ(古くなった魚のはらわた)と呼んだのをきっかけに、彼はいたるところでルーイパという名で知られました。そして、その名のもとにシッディ(成就)を得ました。

 彼の伝記の残りは、ダーリカパと、ディンカパの伝記のときにも登場します。

 大成就者(マハ-シッダ)ルーイーパの伝記、終わり。

share

  • Twitterにシェアする
  • Facebookにシェアする
  • Lineにシェアする