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マハープルシャ・シヴァーナンダの生涯(長編)(9)

 他とは違った辺鄙な場所に魅せられて、ときに、幾人かの放浪修行者が、カンクルガチの庭園に数日の間立ち寄ることがあった。ターラクは、そのような修行者のある一人について、こう言った。

「北インド出身のあるサードゥが庭園にやって来て、数日をそこで過ごした。彼は大変穏やかな気質で、非常に控えめだった。彼は庭に通じる通路沿いの木の下に座して瞑想したものだった。
 おそらくラーム・バーブが食べ物や生活必需品を差し入れていたのだろう。あるとき、シュリー・ラーマクリシュナにこのサードゥのことを話したら、『そのうち、その聖者をここへつれておいでよ』とおっしゃったので、ラーム・バーブは馬車を雇ってこのサードゥをドッキネッショルへつれて行った。
 師はこの男を優しくお部屋へ迎え入れ、師ご自身もお掛けになりながら、彼に小さい方の簡易ベッドに掛けるように言われた。
 二人の会話は霊的な話題――神にまつわる話題――で盛り上がった。次第に彼らは、サヴィカルパとニルヴィカルパ両方のサマーディーについて語り合い始めた。
 師は、ニルヴィカルパ・サマーディの描写をしている最中に、突然、全くの不動の状態になり、片方の足は簡易ベッドにのせ、もう片方の足はベッドの傍に投げ出したまま、まさに彼が語りつつあった境地に没入してしまったのだ。
 サードゥは、シュリー・ラーマクリシュナが瞑想に入る準備をしているのだと勘違いした。師がそのような姿勢をとっているのを見て、普通の人が座るような正しい姿勢で座ってくれるようにと思い、サードゥは『正しい瞑想の姿勢で座ったらどうですか?』と訪ねた。
 師がこのサードゥの、繰り返しなされた忠告を聞き取れただろうか? シュリー・ラーマクリシュナは、肉体と五感の意識からは遥か彼方の意識状態に入っていらっしゃるようだった。」

 そして、さらにターラクはこう付け加えた。

「誰が、師のサマーディを正確に認識出来るというのだ? いつ、どのように、どの状態において師がサマーディにお入りになるかなど、誰にも分からなかったのだよ。彼を外から見ただけでは、そのサマーディを理解することなんて全く不可能だったのだ。
 師がいつサマーディにお入りでないというのかね? 寝床に入っていて、明らかに夢を見ているか眠っているときも、いつなんどきいかなる状態においても、サマーディは彼にとっては自然なことだったのだよ。」

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