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マハープルシャ・シヴァーナンダの生涯(長編)(3)

 挨拶をした後に、シュリー・ラーマクリシュナがターラクに、「前の週の土曜日に、カルカッタのラームチャンドラの家で私と会ったか?」と尋ねると、ターラクはその通りだと答えた。
 すると師は、「おまえは、神には形はあると思うか? それとも無いと思うか?」と尋ねられた。
 ターラクは、「神には形は無いと思います」と謙虚にその問いに答えた。

「でもねえ……おまえは、母なる神、神聖なエネルギーがさまざまな形態で顕現していることも認めざるを得ないだろう?」

と、師は言った。

 シュリー・ラーマクリシュナは席から立ち上がると、ターラクについて来るように言い、カーリー寺院の方へ向かった。鐘の音とドラの音が、夕べの礼拝が丁度始まったことを告げていた。あたりの様子は、尋常ではない荘厳さと献身の空気に包まれていた。
 母なる神の寺院に到着すると、シュリー・ラーマクリシュナは女神像の前に平伏された。彼の神像への礼拝に反して、無形の神のみを信じることを推奨するブラフモー・サマージ協会の会員の一人として、ターラクは初め、師が示されたお手本に倣うことを躊躇した。
 しかし突如、彼の頭の中に、「どうしてわたしは、そんなちっぽけな考えを持たなきゃいけないのだ?」という考えが閃いた。

「もし神がすべてに遍在しているというのなら、他の場所と同様、この石像にも必ず臨在していらっしゃるに違いないではないか。」

 このように考えて、彼は母なる神の像の前に恭しく頭を下げた。
 
 シュリー・ラーマクリシュナは、人の本質を見抜くその突出した洞察力によって、ターラクの霊的な潜在能力を見抜いていた。

「今夜はここへ泊まっておいき。」

とラーマクリシュナはターラクに言った。

「たまたま一日ここへ来たからって、永続的な恩恵は何も得られないんだよ! おまえはここに頻繁に来なくちゃいけないよ。」

 しかしターラクはすでに近くの友人の家に泊まる予定があったので、暇を請うた。そして翌朝戻ることを約束して、彼は師の下を後にした。

 翌朝、ターラクが約束通り再び師のもとを訪れると、師はターラクに氷を少し持ってくるように頼んで、彼の再訪に対する喜びの意を表わされた。(聖者から個人的な奉仕を許されるということは、並外れた祝福だとみなされる。)

 そのときから、ターラクは師の愛に魅了され、引き寄せられるようにして、師のもとを頻繁に訪れるようになった。ときどき彼は週末をドッキネッショルで過ごしたので、師とどんどん親密になっていった。

 ある日、聖ラーマクリシュナがターラクにこう言った。

「ねえ、わたしは普通、ここへ来る者達の家庭環境について聞いたりはしない。わたしは心の中だけを見て、人の感じていることを読み取るのだよ。おまえの場合、おまえを見ただけで、おまえがここに居るべき人だということが分かる。だから、わたしはお前の父や他の家族のことが知りたいのだよ。」

 それに答えて、ターラクは師に、彼の父親や家族のことを全て詳細に話した。

 ターラクの父であるラーム・カナイは偶然にも、ドッキネッショルのカーリー寺院の創設者であるラーニー・ラースマニーの長年の顧問弁護士を務めていたので、すでに仕事で寺院を訪れた際に、シュリー・ラーマクリシュナと対面していた。彼は、師に対して深い尊敬の念を抱いていたので、ドッキネッショルを訪れた際は必ず師に面会していたのだった。
 あるとき、シュリー・ラーマクリシュナが、あるタイプの激しい修行が原因で、全身が燃えるようにひりひりと痛む急性の症状を煩い、あらゆる治療薬を試したものの、どれも効き目がない状態が続いていた。
 そしてある日、師はラーム・カナイに治療のアドバイスを求めた。ラーム・カナイは、イシュタ・カヴァチャを師のために作り、それを腕に着けるように進言した。これらのアドヴァイスに従うことによって、師は回復したのだった。

 シュリー・ラーマクリシュナは、ラーム・カナイがターラクの父親であることを知って大変驚き、父親をすぐに連れてくるよう、彼に言った。
 ラーム・カナイが到着し、シュリー・ラーマクリシュナに敬意を表して挨拶をすると、師は歓喜に浸った状態のまま自らの足を彼の頭に置き、彼を祝福した。
 その魅惑的な一触れは、ラーム・カナイに突如、途方もない霊的な歓喜を沸き起こしたので、彼はわーっと泣き出したのだった。

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