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パドマサンバヴァの秘密の教え(36)「十のパーラミター」

十のパーラミター

 三番目に、十のパーラミターの行為を行ずることには5つのテーマがある。

1.全体的なエッセンスは、最上の悟りを得るための道の本質を持つことである。

2.パーラミターの定義は、あなたを輪廻の海の彼岸(パーラム)にある大いなるニルヴァーナに到達(イター)させることである。

3.その機能とは、功徳と智慧の二つの蓄積を完成させ、衆生の幸福を完成させることである。

4.概要と詳細の二つの分類がある。

 概要的分類としてはまず、布施、戒、忍辱、精進、瞑想、智慧の六つのパーラミターがある。

 布施には三つの詳細な種類がある。
①ダルマの教えを説く。
②物質的なものを与える。
③恐怖する者に対して保護を与える。

 戒にも三つのタイプがある。
①間違った行いを控える修習。
②有徳な資質を蓄積する修習。
③衆生に利益を与える修習である。
 つまり、十の悪業を控えることや、六つのパーラミター、そして四摂事によって、これらの修習が遵守される。

 忍辱にも三つのタイプがある。
①輪廻を捨てる時に経験する苦悩に無関心でいる忍辱。
②衆生に利益を与えるために困難を引き受ける忍辱。
③ダルマへの信を保つ忍辱。これは、深遠な本質への恐怖に堪えることを意味する。

 精進にも三つのタイプがある。
①大乗の教えを実践する精進。
②逆境をはね返す鎧兜のような精進。
③全智のブッダフッドを成し遂げるための、一瞬も休む事なき精進。

 瞑想にも三つのタイプがある。
①便宜的・限定的真理に焦点を合わせる瞑想。
②至高の意味の真理に焦点を合わせる瞑想。
③両方に焦点を合わせる全般的な瞑想。

 智慧にも三通りある。
①精神集中を超えて、条件付けられたものを悟る智慧。
②精神集中を超えて、内なる本質を悟る智慧。
③すべての現象は二元を越え、言葉や思考や形容を超えていると悟る智慧。

 この六つのパーラミターをあなたの心の連続体にしっかりと植え付けるためには、さらに四つのパーラミターを完成させなくてはならない。

 見返りを期待しない寛大さによって、物惜しみする性分と貧しさを克服するのは、力のパーラミターである。
 普通の人や小乗の人たちの意図を持つことなく布施をするのは、方便のパーラミターである。
 『すべての衆生の貧しさを、私が救うことができますように!』という考えをもって布施するのは、大志のパーラミターである。
 布施する者・布施の対象・布施の行為という三つの完全な純粋性をもって布施することは、完全なる叡智のパーラミターである。

 同様に、輪廻における結果を望まない修行を通して悪業を殲滅するのは、力のパーラミターである。
 八つの世俗的関心事から離れ、誓いを遵守することは、方便のパーラミターである。
 神々や人間界を自分だけのために欲するのではなく、「すべての衆生の不道徳な行ないが捨断されますように!」と願うことは、大志のパーラミターである。
 戒を守る者・その対象・戒を守ることという三つの非概念化によってそれを悟ることは、智慧のパーラミターである。

 すべての人に対して平等に振舞うことによって怒りを殲滅するのは、力のパーラミターである。
 欺瞞や偽善といった世俗的な目的を持たないことは、方便のパーラミターである。
 自分自身のためだけに神や人間の美しい身体に生まれたいと望まず、「すべての衆生が忍辱によって美しくなりますように!」と願うのは、大志のパーラミターである。
 忍辱する者・その対象・忍辱の行為という三つの非概念化によってそれを悟ることは、完全なる叡智のパーラミターである。

 自己の欠点と高い資質を心に留め、勤勉さで怠惰を殲滅するのは、力のパーラミターである。
 他の人々に信頼されることを期待するような世俗的な目的を持たないのは、方便パーラミターである。
 『すべての生き物達が怠惰を終わらせ、真実の道に励みますように!』と願うのは、大志のパーラミターである。
 精進する者・その対象・精進することの三つの非概念化によってそれを悟ることは、完全なる叡智のパーラミターである。

 無色界にまで至る集中力を通して注意散漫を制するのは、力のパーラミターである。
 神や人間界に対する欲望なしに、無上の悟りの本質を達成するための修行するのは、方便のパーラミターである。
 『すべての衆生の注意散漫が妨げられますように!』と願うのは、大志のパーラミターである。
 瞑想する者・その対象・瞑想することの三つの非概念化によってそれを悟ることは、完全なる叡智のパーラミターである。

 慈悲を伴った空の智慧によって、分別的概念を殲滅することは、力のパーラミターである。
 過去・現在・未来に渡ってそれを堅固にすることは、方便のパーラミターである。
 『私とすべての衆生が至高の意味の真理に気づきますように!』と願うことは、大志のパーラミターである。
 始めからあなたの心の真髄はこの智慧の本質を備えているという事実を認識することは、完全なる叡智のパーラミターである。

 ツォギャルよ、気を逸らすことなく、このように訓練しなさい。

5.十のパーラミターを修習する果報によって、低い領域から解放され、神と人間の特別なレベルに到達することで道を完全にし、速やかにブッダフッドに到達するだろう。その後、衆生を輪廻から解放する偉大な案内人になるだろう。」

⑪ボーディチッタの誓いを失うことと、保持することの境界線

 ボーディチッタの誓いを得た時とは、以下のようである。
 功徳を広く集めたのち、完全に心を純化させることにより、生き物たちの真の幸せを達成しなければならないという思いが起きる。そのとき、適切な儀式によって、ボーディチッタの誓いを得る。

 ボーディチッタの誓いを失う時とは、誤った考え方が起きたり、三宝を放棄するなど、修行に違反する時である。故に警戒を怠らず、注意深く、誠実さを保ちながら努力することが大切なのだ。

⑫損なわれたとき修復する方法

 もしあなたが根本の教えを傷つけた場合、あなたは前に指示されたように誓いを取り戻さなくてはならない。
 もしあなたが枝分の教えを傷つけたならば、あなたはそれを師または三宝の前で告白しなければならない。

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