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パドマサンバヴァの秘密の教え(108)「ティソン・デツェンへの助言」

2.ティソン・デツェンへの助言

 エマホ

 師パドマサンバヴァは、サムイェー寺院の地鎮のために、ティソン・デツェン王によってチベットに招待された。

 アビシェーカがおこなわれるとき、王は、濃い栗色のマントを身につけた師に、絹のクッションでできた王座に座るようにお願いした。

 王は師に、米で作った酒を振る舞い、また、多くの金と銀を供養した。

 王はその他にも様々な財宝を師に供養し、また黄金のマンダラの上に七つの宝石を満たし、ターコイズでできた花を飾り立てて供養した。

 王はさらなる貴重な品々を、スメール山を中心とした宇宙を表すものとして黄金のマンダラの上に組み立て、それを、次のような賛辞の言葉とともに、師に捧げた。

「ニルマーナカーヤであるあなたは、父と母からではなく、蓮の花から生まれた。
 あなたは生と死の流れを断ち切るヴァジラカーヤとして衆生を導くために、この世にとどまる。
 とらわれのない悟りの広がりにより、あなたは徳ある人々にブッダの心を明らかにする。 
 種々のすばらしい神通力で、あなたは不遜な神々や悪魔たちを誓いのもとに縛り付ける。
 三身の完全なる働きにより、あなたのニルマーナカーヤは、すべての仏陀の中で最勝である。
 私はあなたに帰依し、崇拝いたします。
 あなたは五感の悦びに浸るときも、それに執着や愛着を持つことはないが、
 あなたは衆生が功徳を積めるよう、それらを慈悲を持って受け入れる。
 至高なる深遠な意味を私に授けて下さるよう、どうかどうか、お願いいたします。」

 師はこうおっしゃった。

「王よ。あなたは私の現世の姿を気に入っておられますか?」

「はい」と王は答え、さらにこう続けた。

「四大元素の病から自由であり、生と死を超越しており、あなたは衆生の幸福のために行動すべく、際立った深い慈悲の心を持っている。
 あなたの心はダルマターの生来の本質として永遠にこの世にとどまる。
 私はあなたの現世の姿を気に入っています。衆生の守り主よ。」

 師はこうおっしゃった。

「あなたは、自らの師が最も重要であることを知るべきである
 この輪廻の世界にあらわれた千人の仏陀よりも、あなたの師こそが最も重要である。
 それは何故か。何故ならこの輪廻の世界にあらわれたすべての仏陀も、師に従うことにより現れたからである。
 師が存在する以前には、『仏陀』という言葉が存在することはなかった。

 また、こうも言われている:

 師は仏陀であり、師はダルマである。
 師がまたサンガであるのと同様に。
 故に彼は三宝の根源である。
 他の全ての尊敬の対象を脇に置き、
 あなたの師に尽くすよう努力しなさい。
 彼を満足させることにより、あなたの望むすべての達成を受け取ることができるであろう。」
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