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パトゥル・リンポチェの生涯と教え(61)

◎老いた遊牧民に対するパトゥルの指摘の教え

 テルトン・チョーギャム・リンパ、彼の配偶者デガ夫人、そして彼の子供たちは、パトゥルから入菩提行論の教えを授かり、彼らは皆、入菩提行論に対して大変な敬意と信仰を抱いた。
 チョーギャム・リンパの子供たち――テルトンの長男のワンチュク・ドルジェと娘のコンチョク・パルドン(二人ともデガ夫人の子供)と次男のツェワン・ノルブ(母親はジャムヤン・ケンツェー・ワンポの姪)――は皆、パトゥルを根本グルと見なして、 彼と一緒に長きにわたって学んだ。
 コンチョク・パルドンは、彼女と彼女の家族がパトゥルと共に暮らしていた頃、パトゥルがゴロクの老いた遊牧民に「指摘の教え」を与えていたことを覚えていた。
 パトゥルは、その老人の地方の方言でしゃべりながら、この重要な教えを簡潔に述べ、心の真の本性を示したのであった。

 過去を反芻するな!
 未来を期待するな!
 現在について、考え過ぎるな!
 それに干渉することなく、
 心をありのままにしなさい。
 今、この瞬間に
 目覚め
 リラックスせよ
 これを超えた先には、もう何も存在しない!

 この要点のアドヴァイスは、パトゥルの「『何も存在しない』の教え」として有名になった。
 しかし老人は、この真髄的な教えだけでは物足りなかった。ゴロクの老人は「わたしが地獄に生まれ変わらないように、私を祝福してください! 」と懇願した。
 パトゥルは頭を振って、それはできないと彼に言った。

「純粋な領域に生まれ変わるための唯一の方法は、修行だ。石を投げつけるようなものではない!」

 パトゥルは言った。

「稲妻のように一瞬にしてそこに到達することなど、不可能なのだ!」

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