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ゴーヴィンダ・ムケルジーの家において(1)


ラーマクリシュナの福音

「ゴーヴィンダ・ムケルジーの家において」

1883年2月18日(日)

 シュリー・ラーマクリシュナは、カルカッタに近いベルガリヤのゴーヴィンダ・ムケルジーの家にお着きになった。今日は日曜日で、ファルグン月七日。キリスト歴1883年2月18日。マーグ白分12日目。ナレンドラ、ラームをはじめ信者たちも来ていたし、近所の家の隣人たち何人かも来ていた。7、8時ごろ、最初にタクルは、ナレンドラたちと一緒にキールタンに合わせて歌って踊られた。キールタンが終わると一同は座った。大勢が師に敬礼をした。ときおり彼はおっしゃった。『神の前に頭を下げよ。』
 それから、
『あのお方がこれら一切のものになっていらっしゃる。だけど、ある場所には特別によくあらわれておられる。たとえば聖者のところみたいにね。悪人もいるし、虎やライオンだっているじゃないか、とお前たちは言うかもしれん。そりゃ、虎神様を抱きしめる必要は全くないんでね。遠くの方から挨拶をして通り過ぎればいいんだよ。水を見てごらん。飲める水、祭事に使うことができる水、沐浴に使う水、いろいろある。皿洗いだけにしか使われない水もある。』

近所の人「その通りでございます。ときに、ヴェーダーンタの教義はどういうものでしょうか?」

シュリー・ラーマクリシュナ「ヴェーダーンタは、『私は彼なり』――ブラフマンが実在であって、世界は幻なのだ、と言う。この『私』さえも幻、思い違いなのだ。ただ至高のブラフマンだけがある、と言う。
 けれどもね、”私”というものはどうしてもなくならないよ。だから、『私は神の召使い』、『私はあのお方の子供』、『私はあのお方の信者』、こう思っているのがたいそういいことなんだ。
 今のようなこういう時代には、バクティヨーガが一番いいのだ。バクティを通じてあのお方に触れることができる。肉体の自覚があるからこそ、この世の知恵(相対意識)だ。形、味、におい、手触り、音など。これは皆、対象物だ。この知覚をなくすることは、とてつもなく難しいからね。この世間知がある限り、”われは彼(ブラフマン)なり(ソーハム)”じゃないし、そんなふうに言ってはいけない。
 本物の世捨て人なら、ごくわずかしか世間知はない。しかし世間の人は常にそれらの中に巻き込まれている。それだから大方、普通の人間は、”私は神様の召使い”と感じるのがいいんだよ。」

近所の人「師よ、私たちは罪びとでござます。どうなるのでしょうか。」

シュリー・ラーマクリシュナ「あのお方の御名を称えて彼の栄光を歌えば、体についたすべての罪は、飛んで行ってしまうよ。身体の木に罪という小鳥がとまっているのだ。称名とキールタンは手を拍つようなものだ。手を叩けば木の上の鳥が皆飛び立つように、そっくりそれと同じこと、あらゆる罪は、あのお方の御名を称えてほめたたえることで消えてしまう。
 また、牧場にあるため池が、太陽の熱で自然に蒸発していくだろう。同様に、罪のため池の水も、神の御名とキールタンで干上がってしまう。
 毎日、アヴィヤーサ(訓練)をおこなわなければいけない。このあいだ、サーカスを見たが、ひとりのイギリス人の女が片足で一頭の馬の上に立っていた。あれまでになるには、どんなに練習したことか。
 それから、あのお方に会いたいと思ったら、少なくとも一回はそのために心の底から泣くこと。
 これらが二つの方法だ――訓練と、そして情熱(毎日たゆまず実行すること)、つまり、『彼』に会いたくて居ても立っても居られない魂の不安だ。」

【ベルガリヤ村の人がチャクラの歌を歌い、シュリー・ラーマクリシュナ、サマーディに入る】

 シュリー・ラーマクリシュナは、二階の部屋のベランダで、信者たちと共に昼食をとられた。時間は一時ごろである。皆の食事が終わるか終わらないうちに、一信者が下の中庭で歌い始めた。

 お目覚めなさい お目覚めなさい マーよ!
 なんと長い間、眠ってこられたこと

 タクルは、この歌を聞かれてサマーディに入られた。身体は全く静止し、手は食物の皿に触れたまま、絵の中の人物のようになられた。もちろん、もう召し上がることはなさらない。長いこと経って、やや平常に降りてきて、こうおっしゃった。「下に行く、下に行く。」
 一人の信者が、非常に用心しながら彼を階下に導いた。
 中庭では、皆が神の御名を称えて、キールタンを歌いながら踊っていた。座るための敷物も広げてあった。タクルはまだ半サマーディの状態で、歌手のそばに行かれてお座りになった。歌い手は、今しがた歌い終わったところである。タクルは非常に厳かな口調で彼に、「母の御名をもう一度聞きたいのですが」とおっしゃった。
 歌い手は歌った。

 お目覚めなさい お目覚めなさい マーよ!
 なんと長い間、眠ってこられたこと

 サハスラーラまで昇るのが あなたのつとめ
 主シヴァのもと 千枚花弁の蓮華まで

 六つの階段を速やかに通り
 悲苦をすべて除き去り
 かの霊妙壮麗なる至上の意識に――

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