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アディヤートマ・ラーマーヤナ(41)「プラヴァルシャナのリトリートにおけるラーマ」

第四章 プラヴァルシャナのリトリートにおけるラーマ

◎ラーマがラクシュマナに儀式的な礼拝を教える
 
 ラーマとラクシュマナは、山腹にある宝石でできた洞窟の中を気晴らしに歩き回り、そこで大量に採れる果物や根で大変満足して暮らした。
 そこでラーマは空に、大量の雨雲が、雷の轟と稲妻の閃光を放ちながら、風に吹かれて動いているのを見て、驚嘆した。
 それらはそのてっぺんに金色の座をつけた発情した象の頭のようだった。

 草で覆われた山肌には、新鮮な緑の草を食んで幸せそうに肥えている鳥や獣たちが遊びまわっているのが見られた。彼らはそこで、いっぱいに開いた眼でラーマを見て、立ち尽くしていたのだった。
 常に瞑想に没頭している苦行者のように――主がこの森と山で人間の御姿で歩き回っているように、本当は至高者に仕えるためにやって来たシッダ方であるそれらの鳥と獣たちは、ラーマを凝視しながら立ち尽くしていた。

 ある日、ラーマが瞑想の後に、内観的な気分で一人で座っておられたとき、ラクシュマナが愛を抱いて、謙虚に彼に近づいてきて、こう言った。

「教えによって、あなたは過去にアヴィディヤー(無明)から生じた私の心の疑念を取り除いてくださいました。
 私は今、カルマヨーギーは如何にしてあなたに儀式的な礼拝を捧げるのかを、あなたからお聞きしたいのです。この道は常に、解脱に達するための方法としてヨーギーたちによって求められています。さらに、ナーラダ、ヴィヤーサ、そして蓮華から生じたブラフマーは、ブラーフマナ、クシャトリヤ、ヴァイシャにも、さらにまた、女にも、シュードラにも解脱を与える道として、それを説いております。おお、偉大なる御方よ! どうか、私以外に全世界もがそれによって利益を受けることができるよう、あなたの弟であり帰依者である私に、解脱へと素早く万人が到達することができる方法をお話しください。」

 シュリ―・ラーマはこうお答えになった。

「私の儀式的な礼拝の道には終わりがない。ゆえに、私はお前に、その重要性に基づいた本質的な部分についての手短な説明をしよう。
 家系の伝統に従って聖糸を授けられた後、人は正式なグルから私のマントラと礼拝のイニシエートを受けなければならない。そして彼は、深い信仰と心遣いと共に、師に示された通りに私の礼拝を遂行し始めるべきである。礼拝は、心、あるいは火、像、太陽、サラグラムに住まう私に捧げるとよい。大望を抱く者は、まずは朝の沐浴によって身体を清めるべきだ。
 彼は沐浴中には、適したマントラ、ヴェーダ、タントラの言葉を唱え、泥や、身体を清めるための聖典によって許されたものを塗りつけなくてはならない。それから、サンディヤーや他の日々の儀式を行うべきだ。
 純粋な心で、彼は儀式の遂行の成功のために、礼拝の最初にサンカルパ(正しい決意)を唱えなければならない。それから礼拝者は『グルは私(至高者ラーマ)である』という信念を持って、心の中でグルを崇拝すべきである。
 礼拝が石を媒体として為されるならば、日々の儀式的な水かけが行なわれなければならない。礼拝の対象が像ならば、それを磨くことが必要だ。それから供物は、よく知られた花、サンダルの粉などの材料で作られるべきである。礼拝が実を結ぶためには、純粋で誠実な心で、梵行を遵守し、グルによって説かれた伝統に従った礼拝の手段を堅持して行なわれなければならない。花冠などで像を飾り付けることは、大いに私を喜ばせることである。
 礼拝が火を媒体として行われる場合は、ギーやその他の材料で泰納が為されるべきである。太陽が礼拝の対象であるならば、太陽を象徴する儀式的な図柄を床に書き、それに礼拝を捧げるべきだ。材料はというと、帰依者によって確固たる信を持って捧げられた供物ならば、それがただの水でさえも私は嬉しい。ならば、花々やサンダルの粉、お香、そして果物や甘いお菓子の供物、パヤサやその他のおいしい料理が捧げられたときの私の喜びは言うまでもない。
 礼拝者は下にクシャ草を、その上に鹿の皮や布をひいて、座るべきである。彼は心を純粋にし、聖なる思いで満たし、神に向かって座らなければならない。
 それから、人はニャーサ(マントラを唱えて指を置くこと)を行うべきだ。まず最初に行われるべきニャーサは、マトリカ・ニャーサである。これは、身体と礼拝する像に五十一の文字を置くものである。それから、二十四の神聖なる御名を置くことでケーシャヴァディ・ニャーサを行ない、この後にタットヴァ・ニャーサを行うべきである。
 次に、ムルティパンガラ・ニャーサ(ヴィシュヌ・パンジャラ・ストートラの中に記されている神聖なる御名を身体中に置くこと)が行われるべきである。その後、マントラ・ニャーサが行われなければならない。これら一切は像に対して綿密に行われるべきなのだ。
 そして、その前の少し左のところに水瓶を、その右側には供養するための花を置くべきである。同じように、四つの器を、アルギヤ、パディヤ、アチャマナ、マドゥパルカのために用意し、それから人は太陽のように光り輝く心臓の蓮華に、真我の粒子であるジーヴァ(具現化された魂)を瞑想すべきだ。
 そして、それが頭のてっぺんから爪先までの身体全体に充満していると瞑想しなければならない。次に、自分の中のその神聖なる意識を、毎日、礼拝の対象の像の中に移し、それを生きている存在として感じるべきである。
 それから人は、パディヤ、アルギヤ、アチャマニヤ、かけるための水、布、装飾をもって、その手段に従って誠実に私を礼拝しなければならない。
 さまざまな礼拝の手段をとる者たちは、毎日、カルプラ、クンクマ、アキル、サンダルの粉、芳しい花々を供養すべし。
 大望を抱く者は、アガスティヤ・サンヒターで記されているように、ダサヴァラナ・プージャーの熟練者の助けを借りて行えばよい。毎日の礼拝は、お香、灯明、さまざまな種類の食物の供物、水かけなどを、偉大なる信をもって行なうべし。一切の主である私は、偉大なる信と誠実さを持って供養されたものは何でも受け取る。マントラに熟練した者たちも、毎日聖典の指示に従って火の供養(ホーマ)を行うべきである。
 アガスティヤ・サンヒターに書かれている規則に従って掘った供儀用の穴の中に、アーガマに通じている者は、ムーラ・マントラやプルシャ・スクタを唱えながら、ギーやその他の材料の奉納をすべし。
 あるいは、特に供儀用の穴を用意しなくても、聖火の中でチャルを奉納してもよい。供養をしている間、金色で、神聖なる装飾で飾られ、炎の中に住まう私を思いなさい。
 次に、心に私を思いながら、私のマントラを静かに復唱すべきである。その後に、私にキンマの葉を捧げ、踊り、歌、讃嘆、詠唱、聖典の朗読に従事しなさい。そして次に、心に私を思いながら、完全なる礼拝を捧げるべきである。
 彼は次に、心の中に、神が、捧げられた花などを、恩寵のしるしであるプラサードとして自分に与えてくださっていると観想し、それらを頭に置かなければならない。そして、心の中で神の御足を掴んで、御足に頭をつけ、
『おお、主よ! この生死の繰り返しである輪廻の恐ろしい生から私を引き上げてください。』
と祈るべきである。このように祈りながら、人は礼拝すべし。
 それから、礼拝のために神を意識の中から連れ出したように、ウドヴァサという儀式に則って、彼を自分の中に連れ戻さなければならない。
 私が解説したように私を礼拝するならば、人は今生と来生において、私の恩寵により、霊性の幸福を得るであろう。
 帰依者が毎日このように私を礼拝するならば、彼は私自身の姿を得ることで、サルーピャ(姿が似ること)あるいは救済を得るであろう。そこには少しの疑いもない。
 この私によって説かれた私の礼拝の至高なる聖なる秘密の解説を読み、あるいは聞く一切の者は、日々の一切の形式の礼拝を為す果報を得る。」

 このように、シュリ―・ラーマとして化身された至高者は、アディシェーシャご自身の化身であられる弟のラクシュマナにこのような質問をされるや、この儀式的な礼拝の教義を説明された。
 しかしその後、ラーマは普通の人間の態度をとり、彼ご自身のマーヤーの力によって、「ああ、シーター」と泣き叫びながら、眠れぬ夜を過ごしたのであった。

◎ハヌマーンのスグリーヴァに対する助言

 その間、キシュキンダーでは、賢明なるハヌマーンは猿の王スグリーヴァと内輪の会話を交わしていた。
 ハヌマーンはこう言った。

「ああ、王よ! 私は御身に真に利益のためにある事柄についてお話いたしましょう。ラーマ様はすでに御身の非常に価値ある願いを叶えられました。
 しかし、御身はそのすべてを忘れた恩知らずのように見受けられます。御身のために、あの御方は、三界にその強さと勇敢さが知れ渡ったヴァーリンを殺戮されたのでありますぞ。
 御身は王位を授けられ、非常に美しい妻のターラーを取り返されましたな。けれども、気高きラーマ様は、弟と共に山の頂上に住んでおられます。そしてもしかすると、あの御方は御身がシーター様の情報を持って現れるのをしきりに待っておられるかもしれないのですぞ。しかし御身は猿の習性に従って、女との交際に溺れて、これらの事実に気づいていらっしゃらない。
 シーター様の行方を探すと約束しておきながら、それを為さらないならば、御身は恩知らずのように、ヴァーリンと同じ運命を辿ることになりますぞ。」

 ハヌマーンの言葉を聞いて、スグリーヴァは恐怖に襲われ、ハヌマーンにこう言った。

「御身が言ったことは正しい。さあ、大急ぎでシーター殿を探しに、一万もの力強き猿たちを四方八方に派遣してくれ。どうか、速やかにこの私の命令を実行してくれないか。
 七つの大陸に住まうすべての猿たちを招集するのだ。二週間以内に彼らを到着させなさい。そうできない者たちは死刑に処するであろう。」

 そのようにハヌマーンに命じると、スグリーヴァは自らの住居へと行った。
 賢明で優秀な大臣であるハヌマーンは、スグリーヴァの命令を実行に移し、猿の使者たちを四方八方に送った。
 最善の注意を払って、ハヌマーンは、善き言葉、贈り物を与えた後、勇敢で風のように早く移動でき、山のように巨大な大量の猿の使者たちに、その使命を命じたのであった。

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