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ライトエッセイ か・・・カンダ・アーサナ

 座った姿勢から両足先をへその方に引き上げて、足の甲と甲を合わせるアーサナ。
 アーサナの中でも難易度の高いものだと思うが、わたしはもともと膝や足首が柔らかかったのか、特に練習しないでもできた。

 しかしこれは一般的にはなかなか難しく、また誰もが習得しなければいけないというものではないので、積極的にヨーガ教室などで教えることはない。
 ただ、以前に一般向けのヨーガ講習会などをよく行なっていたときには、アーサナの説明の中の「つかみ」としてよく行なっていた(笑)。「お~すごい!」と注目させておいて、それに関連するもう少し深い話に持っていくわけですね(笑)

 そしてこれと一緒によく実演していたのが「ムーラバンダ・アーサナ」。これはカンダ・アーサナとは逆に、がっせき(両足の裏を合わせた状態)からかかとをへそのほうに持っていき、つま先立ち(膝も床についている)になり、さらにそこからつま先を後方に回転させて、かかとを前、つま先を後ろに向けた状態でその上に座る。
 これは写真を撮っていなかったのが残念だが、これもわたしは得意だった。そしてこれはカンダ・アーサナに比べても非常に簡単に感じたので、誰でもできるものだと思っていた(笑)。一見難しく、すごいことをやっているように見えるけど、実はこれはけっこう簡単なんですよ、と言ってみんなの注目を集め、そこから深い話に持っていっていた。

 ところで最近、ヨーガ教室で、積極的には教えていなくても、カンダ・アーサナができる人が何人か出てきた。しかしカンダ・アーサナはできる彼らも、ムーラバンダ・アーサナはなかなか難しいと言う。そこで初めて、「え、ムーラバンダ・アーサナのほうが難しかったのか!」と気づいたのだった(笑)。

 ムーラバンダ・アーサナは、性エネルギーのコントロールに効果があるという。
 またカンダ・アーサナは性エネルギーの強化とコントロール、消化力の強化、そして肝臓と脾臓の病気に効果があるという。

 しかしそれらの目的は他のアーサナや呼吸法その他の修行でも補えるので、必ずしも労力をかけてこれらのアーサナを練習する必要はないと思う。

 また、習得したいと思って練習する場合も、もともと膝や足首が極度に柔軟な人以外は、気を付けて慎重に行なった方がいいだろう。アーサナの写真集などで有名なN氏も、撮影のために寒い気候の中でカンダ・アーサナをやろうとしたら、足を骨折してしまったそうだ。

 ところで、フェイスブックなどで欧米のヨーガ関係者などが、よく中国雑技団のような「びっくりアーサナ」の写真をアップしているが、あれはどうかと思う(笑)。たしかに「すごい」とは思うけど、「ああなりたい」とは思わないんじゃないかな(笑)。あそこまでいくとちょっと気持ち悪くて引いてしまう、という写真もよくある。ヨーガのアーサナは体を極度に柔軟にすることが目的ではないし、びっくりアーサナショーが目的でもない(笑)。
 
 まあわたしも上記のようにいくつかのアーサナを「びっくりアーサナ」として話のとっかかりに使ったりはしていたけれど(笑)。でもそこばかりを追究する方向には向かってほしくないですね。
 インドでも一時期「びっくりアーサナ」を見世物とする似非ハタヨーギーたちが横行し、彼らは真に道を求める人々からは敬遠されていたようですね。
 「ラーマクリシュナの福音」の中でも、ハタヨーガが色物として見られていたらしい記述が出てくる。しかし本来のハタヨーガは色物ではなく、もともとクンダリニーヨーガと同義と言ってもいいが、密教的に生命エネルギーの覚醒と上昇を最大限に利用して解脱を目指す崇高な道である。ラーマクリシュナの教えにも、このクンダリニーヨーガ的な、エネルギーがチャクラを貫いて上昇し、サマーディ、あるいは神との合一に向かうプロセスの話がよく出てくる。これはクンダリニーヨーガであり、また本来のハタヨーガが目指しているところだ。しかしラーマクリシュナは「あのように体とか健康とかばかりに目を向けていると、神に到達できない」などと言って、ハタヨーガを否定しているのだ。しかしラーマクリシュナが説いている教え自体には、上述のようにハタヨーガの真髄的な教えがよく出てくるのだ(笑)。
 これはどういうことか? それはつまりその当時「ハタヨーガ」として認識されていたもの(巷のハタヨーギーたちがよくやっていたもの)と、本来のハタヨーガの真髄とに、かなり乖離があったということだろう。

 ところでまた全く話は飛びますが、今年の一月、わたしは中指の腱を左右から支えている筋の一つを切ってしまいました。
 きっかけは、お風呂に入っているときに、指についた粉か何かをとろうとして、指を弾くような、いわゆるデコピンのような(笑)動作をしたのですが、その瞬間、指が変な方向を向いてしまい、とっさにもとに戻したのですが、結局筋が切れてしまったみたいで、こぶしを握ると腱が脱臼するようになってしまいました。
 ネットで見ると、脱臼しても問題なければそのままにしていてもいい場合もあるようですが、わたしの場合はこぶしを握るとひどい痛みが走り、またこぶしがうまく握れずに日常生活に支障をきたす感じだったので、病院に行きました。
 わたしはめったなことでは病院に行かないので、前回歯医者に行って以来、15年ぶりの病院訪問となり、少し緊張しました(笑)。
 お医者さんに状況を伝え患部を見てもらうと、「何か殴りましたか?」と聞かれたので「いいえ」と答えると、「じゃあこれですか?」と言ってデコピンの動作をしてきました(笑)。実際、この動作で筋を切ってしまう人は意外に多いんだそうです。皆さんも気を付けてください(笑)。また、関節が柔らかい人の方がかえってこういう怪我にあいやすいとも聞きました。
 さて、診察の結果、とりあえず保存療法で患部を固定し、うまくいけば6週間でくっつくが、くっつかなかったら手術と言われ、患部をギプスで固定されました。
 病院では一週間後にまた来てくださいと言われましたが、病院が苦手なので(笑)、行ってもギプスと包帯を交換され、痛み止めと胃薬をもらうだけだろうと思い、それ以降は病院には行かずに、市販の指を固定する器具などを改造したりして、6週間固定してみることにしました。
 そして結論としては無事完治しました。実際には固定してから正確に6週間経つ数日前に、なんとなく「治った」という感覚があり、実際に固定を外してこぶしを握ってみると、ちゃんとくっついていました。人体はすごいですね(笑)。

 さて、実はこの件は書く機会がなくて今まで書いていなかったんですが、実は書きたかったんです(笑)。なぜかと言うと、実は最初、この症状について調べたときに、保存療法をとっている最中の人や、手術をした人の体験談は出てきたんですが、保存療法によって無事完治しましたという体験談は見つからなかったんです。
 だから同じ症状で保存療法を選んだけれど「ほんとに治るんだろうか?」と不安を持っている人は多いんじゃないかと思い、そういう人たちのために、治った実例としてこの話を書きたかったんです(笑)。そういう人たちが検索でこの記事を見つけ、安心しますように。そしてできればこれをきっかけにヨーガや修行にも興味を持ちますように(笑)。

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