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クリシュナ物語の要約(31)「クリシュナとバララーマ、マトゥラーへ入る」

(31)クリシュナとバララーマ、マトゥラーへ入る

 アクルーラが賛美を捧げている間に、クリシュナはその真の姿を再び消していきました。アクルーラは急いで正午の儀式を済ませると、水からあがり、馬車まで戻っていきました。

 そんなアクルーラに、クリシュナはこう尋ねました。

「あなたは何か不思議なものでも見たのですか?」

 アクルーラは答えました。

「この地上と天上、そして水の中で見られるすべての驚異は、ああ、主よ、全宇宙を構成されるあなたの中にこそ存在しているのです! そのあなたを直接目にしたなら、他にどんな不思議があるといえましょうか?」

 こうして歓喜に満たされつつ、アクルーラはクリシュナとバララーマを、馬車でマトゥラーへと運んでいったのでした。
 
 やがて馬車がマトゥラーの都に到着すると、クリシュナはアクルーラに言いました。

「あなたは先に馬車で都に入り、そのまま家に帰ってください。僕たちはここで荷物を下ろして、少し休憩を取ってから都を訪れることにします。
 私はあのカンサを倒した後、必ず兄とともにあなたの家を訪ねて、あなたの親族に喜びをもたらすでしょう!」

 アクルーラはクリシュナと一緒にいたかったのですが、クリシュナにこう言われて、しぶしぶ一人でマトゥラーの都に入っていくと、クリシュナとバララーマを連れてきたことをカンサ王に報告した後、自分の家へと帰っていったのでした。

 翌日の午後になると、クリシュナは都を見学しようと思い、兄のバララーマとともに、仲間の牛飼いたちに囲まれながら、マトゥラーの都へと入っていきました。
 すると都の女性たちは、美しいクリシュナの姿を一目見ようと、急いで道上に出てきたり、中には道沿いの家の屋根に登る者までいたのでした。
 あまりにも急いだため、ある女性たちは服や装飾品を間違ってつけていき、ある女性は耳飾りやアンクレットを片方だけつけて家を飛び出し、ある女性はアイシャドウを片方の目だけに塗って出かけたのでした。
 ある女性は、身体にオイルを塗ったまま、沐浴をせずに飛び出していきました。子供に乳を飲ませていたある母親は、その場に子供を置いたまま、急いで飛び出していったのでした。

 蓮華の眼をしたクリシュナは、象の王のように雄々しく歩き、やさしい眼とほほえみにより、彼女たちを完全に魅了したのでした。

 今までその名を何度も耳にして、心を惹かれていたクリシュナの姿を眼にしたマトゥラーの女性たちは、至福の体現者であるクリシュナを、心の翼で追いかけていき、眼から心に導き入れて、愛しく抱きしめることで、果てなき別れの苦しみを癒したのでした。

 そして彼女たちは、こう言いました。
「全世界に喜びをもたらす二人の御子を、心ゆくまで眺めることができたとは、ゴーピーたちはどんな立派な苦行を行なってきたのでしょう!」

 
 さて、クリシュナとバララーマは、スダーマーという花屋の家へ行きました。二人の姿を見ると、スダーマーは席から直ちに立ち上がり、地面に頭をこすりつけてお辞儀をしました。
 そしてスダーマーは二人の御子に、手と足を洗う水、花輪、キンマの葉や白檀を捧げて、恭しく礼拝をしたのでした。

 そしてスダーマーは、こう言いました。
「ああ、主よ、今日あなたがこの家に来られたことで、私どもの誕生は成就されて、一族の者も浄化を得ることができたのです。
 あなた方お二人は、宇宙の大原因であり、全世界の保護と発展のため、自らの意思でこの世に降誕されたのです。
 あなたはご自分を愛する者を愛するように見えますが、本当は公平無私な万人の友なのです。あなたは全宇宙の実体であり、誰をも差別することがないのです。
 あなたのしもべである私は、あなた方に何をすればよいのか、どうかそれをお教えください。あなた方にご奉仕させていただけたなら、それは最高の恩寵なのです!」

 このように言ったとき、スダーマーは、クリシュナが望んでいることを直ちに察知することができました。そして彼は喜びに満たされて、素晴らしい香りを放つ最高の花輪を、クリシュナとバララーマに捧げたのでした。
 
 クリシュナとバララーマは大いに喜び、スダーマーに対して、彼が望むところの恩寵を与えることにしました。そしてスダーマーが望んだ恩寵とは、クリシュナに対して決して揺るがぬバクティを抱き続けられること、そして主の信者(バクタ)たちと友人になれること、そしてすべての生き物に愛を抱くことができることでした。
 クリシュナはそれらのすべてに加えて、幸運、健康、長寿、栄光、輝きなどもスダーマーに授け、そしてバララーマとともに、そこから出発したのでした。

つづく

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