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カダム派史(7)「ドムトンの心の息子である三兄弟」

7.ドムトンの心の息子である三兄弟

 アティーシャの弟子であったプチュンワは、アティーシャの死後、その後継者であるドムトンに付き従った。
 
 チェンガパは、1038年に生まれ、幼少の時に出家した。彼の母が、
「おまえがどうしても仏法をなすというならば、ラデンにいらっしゃるドムトンのもとへ行け」
と言ったので、1057年、二十歳の時に、ラデンにやってきた。

 ポトワは、1031年に生まれ、出家し、まじめに教学や修行に励んでいたが、あるとき、
「カムに行って、自分の名前も隠してひたすら瞑想修行をおこなおう」
と思い立ち、1058年、28歳の時に、ラデンにやってきた。そこで出会ったドムトンに対して信が生じたので、カムに行くのをやめて、ドムトンの弟子となった。

 このプチュンワ、チェンガパ、ポトワの三人は、ドムトンの弟子の中でも傑出した「三兄弟」と呼ばれた。
 ドムトンは弟子たちを、世間へのとらわれから解放させ、まさに法のみを思念するように導いたが、実際に瞑想修行に専念する偉大な修行者は60人ほどだった。

 ドムトンはポトワに対して、ウパデーシャを教え示した。するとポトワの心の中に、その真の意味が如実に生じた。

 チェンガパに対しては、ドムトンは、
「汝はまさに空性を良く修習した。よってより深遠な教えを伝授しよう。私が麦を炒る煙が濃くなったときに、ただ一人でやってこい。」
と言って、秘密裏にやってきたチェンガパに対して、ドムトンは、アティーシャから伝授された多くの密教のウパデーシャを授けた。

 プチュンワに対しては、ドムトンは、四つの真理をはじめとする多くの法を解説した。

 
 この「三兄弟」をはじめとして多くの弟子を成熟させたドムトンは、ラデンに来てから9年後、1064年、60歳の時に、この世を去った。

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