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『釈迦牟尼如来』(3)

 こうしてシッダッタ王子は、出家し、解脱し、ニッバーナにいたる道を歩くことを決意しましたが、父であるスッドーダナ王をはじめとした親族たちは、大反対しました。シッダッタ王子には、スッドーダナ王の後を継いで、サキャ族の王となってほしかったからです。

 スッドーダナ王は、シッダッタ王子が勝手に城を出て行かないように、厳重に警備を固めました。シッダッタ王子は、悶々と思い悩む日々が続きました。
 そんなある日、シッダッタ王子の妃であるヤソーダラー妃が、シッダッタ王子の息子を出産しました。その知らせを侍者から聞いたシッダッタ王子は、自分は全ての執着を捨てて解脱しなければいけないのに、また執着の対象が増えてしまったことを悲嘆し、「障害(ラーフラ)だ!」と叫びました。
 それを聞いた侍者は、シッダッタ王子が息子に命名したのだと勘違いし、そのことをヤソーダラー妃たちに告げてしまいました。それでこの息子は、障害を意味するラーフラという名前がつけられてしまったのでした。

 ある夜、ついにシッダッタ王子は、父や親族の反対に逆らって、家を出て出家する決心をしました。シッダッタ王子は、御者のチャンナをそっと起こし、愛馬カンタカとともに、こっそりと城を出て行くことにしました。
 チャンナは、厳重な警備がいるので、出て行くのは不可能だ、と言いました。しかし行ってみると、警備の者達は皆、居眠りをしていました。
 またチャンナは、城の門は非常に重く、大男が何人も力をあわせないと開かないようになっているので、出て行くのは無理だ、と言いました。しかし、シッダッタ王子が軽く門に手を触れると、いとも簡単に門は開きました。
 これらは全て、シッダッタ王子の出家のために、神々が手助けをしてくれていたのでした。
 
 こうしてシッダッタ王子はついに城を出、出家修行者の道を歩むことになりました。シッダッタ王子は王子としての装身具を全て外し、チャンナに渡しました。チャンナは城に帰り、事の一部始終を告げ、スッドーダナ王と親族達は、悲嘆し、泣き叫びました。

 シッダッタ王子はこうして出家し、サマナ・ゴータマとなりました。サマナとは身分に関わらず出家した修行者のことで、ゴータマとはシッダッタの名字です。

つづく

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