yoga school kailas

「私が見たアドブターナンダ」より抜粋(6)

◎イニシエーションと訓練

 師(ラーマクリシュナ)は、真の奉仕の精神をラトゥに教えた。ある日、師はラトゥ・マハラジに仰った。

「ねえラトゥ、肉体に翻弄されてはいけないよ。骨と肉の集合であるこの肉体に奉仕することによっては、おまえは利益を得ないのだよ。でも、もしその中に住んでいる者に奉仕をするなら、おまえはすべてを得るだろう。」

 
 ”召使い”のラトゥと師のそのときの会話を、私たちは年長のゴーパール(シュリー・ラーマクリシュナの直弟子、スワミ・アドワイターナンダ)から聞いた。彼が語ってくれたことを一字一句そのまま下記に記そう。

ラトゥ「誰がその中にいらっしゃるのですか? 私は知りません。」

師「神がいらっしゃるのだよ! ジーヴァとしてその肉体に住んでいらっしゃるシヴァ神だ。」

 これに対して、ラトゥは沈黙してしまった。そして、師はより強く仰った。

「ねえ、愛するラトゥよ。(心臓を指さして)彼を忘れるな。完璧に彼に従えるか? 絶対に、絶対に彼を忘れるな。」

 これを聞いて、奇妙な変化がラトゥ・マハラジに起こった。彼は手を組んで、どもりながら言った。

「私はあなたをとても愛しています。あなたは私にとてもお優しい。――あなたを忘れることなどできましょうか。もし私があなたに従わないのなら、それは恩知らずで恥知らずなことです。疑いなく、私はあなたの命令を実行いたします。私は決してあなたを忘れません。」

師(笑いながら)「私は自分の言葉を話しているわけではないのだよ。――(心臓を指さして)ただ”ここ”からの言葉を話しているだけさ。」

 ラトゥは答えた。

「私は”ここ”が何だかも知りません。分かりやすく教えて頂けませんか。」 

 これらのラトゥの言葉を聞いて、師は、年長のゴーパールに向かって仰った。

「ゴーパール、ラトゥがたった今、何と言ったか聞いたか。彼は『”ここ”という言葉をご説明ください。』と言った。
 ”ここ”という言葉を説明できるか? なあ、できるのかどうなのか早く言っておくれ。私はなんておかしなことを強制しているんだ!」

 (この真面目でしかも滑稽な師の行いに)ゴーパールは言った。

「なぜですか。あなたは”それ”をご存じのはずです。なぜあなたがそれをご説明なさらないのですか?」

 これに対して、師は(まるで恥ずかしがるように)仰った。

「なんておかしなことを言うんだ! “ここ”の性質を・・・・・・明かすべきかね?」

 (年長のゴーパールは、負けじと答えた)「私たちは、このためだけに――『ここ』が何かということを知るために――あなたの周りに集まっているのです。あなたがそれをお隠しになるなら、私たちはどのように知ればよろしいのですか?」

師(笑いながら)「今は駄目だ、今は駄目だ。『ここ』は、今は知らせてはならない。それは時が来ればお前たち全員が知ることになるだろう。」

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