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「最もまとまったクンダリニー・ヨーガ」

解説・ナーローの6ヨーガ⑤

◎最もまとまったクンダリニー・ヨーガ

 はい、今日はナーローの六ヨーガですね。
 ナーローの六ヨーガっていうのは、もう一回言うと、仏教の中の密教ね。特に現代では、チベット密教のカギュー派に伝わる教えですね。で、これはカギュー派だけじゃなくて、チベット全体で非常に信仰を受けてる教えですね。
 で、カギュー派っていうのは、みなさんがよく聞いたことがあるミラレ―パとかね、ナーローパとか、ああいう系統の世界ね。
 まあちょっと簡単に言うと、チベット仏教っていうのは大きく四つの派に分かれてて、それはニンマ派、カギュー派、ゲルク派、サキャ派ってあるんだね。で、まあ有名なダライ・ラマ法王っていうのは――まあ法王なので、当然全部の王なんだけど、その中でもどちらかというとゲルク派の王なんですね。で、このゲルク派と、それからサキャ派――この二つはどちらかというと、顕教っていうかな、つまり基本的な教えを学んだりとか、戒律を守ったりとか、そういう基本的な修行を大事にする。あるいは議論とかね。
 よくみんなテレビとかで見たことがあるかもしれないけど、よくチベットの僧同士が議論したりするんだね。ちょっと独特のやり方なんだけど、例えばT君とわたしが議論するとしたら、質問する方がね、例えば「八正道とは何だー!」ってやるんだね(笑)【手を叩く】。何でこんなことやるのかっていうと、動揺させるっていうんだね(笑)。それ、いいのかなって気がするんだけど(笑)。つまり議論で相手に勝つために、「八正道とは何だー!」っていう感じで(笑)、そうすると言われた方はドキッとしちゃって、よく考えられなくなるって(笑)。まあそれはいいとして、そういう感じで議論を戦わせたりとかね、そういう学問的な部分が強いんだね。
 で、その他の二つ、ニンマ派とカギュー派っていうのは、逆に密教的な部分が強い。つまり別の言い方をすると、瞑想とか――つまり学問を追求するというよりは、修行を実際に実践して、いかに悟りを得るかとかね、そっちの方が強いんですね。
 そのうちそのカギュー派っていうのが、さっきも言ったように、ミラレ―パとかの派ですが、この派の二大教義っていうのがあって、それが今日やるナーローの六ヨーガ。そしてもう一つがマハームドラーっていう教えがあります。
 で、これはマハームドラーっていうのは心の修行。つまりいかに心を追求し、心の本性を悟るかと。で、このナーローの六ヨーガっていうのは、これはエネルギーの修行なんだね。つまりエネルギーによって、いかに悟りや解脱の世界に到達するかと。
 で、ヨーガとか仏教っていうのはいろんな修行法があるけども、大雑把にいうと、大体この二つに分けられるといってもいい。つまり、心の修行とエネルギーの修行。
 例えばヨーガでいうと、ジュニャーナ・ヨーガ、バクティ・ヨーガ、カルマ・ヨーガ、ラージャ・ヨーガ――こういったのは大体、心の修行だね。例えばジュニャーナ・ヨーガっていうのは分析。頭の中でさまざまなことを分析することによって、心の本質に到達しようとする。あるいはラージャ・ヨーガっていうのは、もうひたすら集中。自分の心に集中することで、心の本質をつかもうとする。あるいはカルマ・ヨーガとかバクティ・ヨーガっていうのは、神――このわれわれを見守ってくださる完全なる神っていうものに集中して、心の本質っていうかな、この世界の本質を悟ろうとする。
 じゃなくて、エネルギーシステム、つまりクンダリニーとかチャクラとか、そういったエネルギーシステムを利用して――まあもちろん到達する点は同じなんだけども、エネルギーシステムを利用して修行を進めていこうっていう流れがあるんだね。これが例えばヨーガでいうとクンダリニー・ヨーガ。例えば中国の仙道とかもそうですね。それから仏教でいうと、この六ヨーガとかの修行になるわけだね。
 だから必ずその両方がある。もちろん両方を一緒にやっていくのが一番いいんですね。心の面からのアプローチと、それからエネルギーの面からのアプローチね。
 で、そのエネルギーのヨーガっていうのは、今言ったように、例えばインドだとクンダリニー・ヨーガ、仏教だと今日やる六ヨーガ、中国だと仙道とかありますけども、実際にはあまり知られていないんだね、その本質っていうのは。
 例えば今クンダリニー・ヨーガって――クンダリニー・ヨーガっていうのは、本当はクンダリニー・ヨーガっていうのが正しいんだけど、クンダリーニ・ヨーガっていうのが流行ってる。ちょっと字が違うんだけど。本当はクンダリニーなんですよ。じゃなくて、クンダリーニ・ヨーガって流行ってるよね? これは実際は言葉としては正しくないんだけど、クンダリーニ・ヨーガって流行ってて、で、世界中で、日本でも多くの信奉者がいて、例えば火の呼吸とかね、いろいろやってるけども、あれは本当のクンダリニー・ヨーガじゃないんだね。あんな肉体的なものじゃないんですね。もっと本当の生命エネルギーを使うような修行じゃなきゃいけなくて。でも一般的には今はあれがクンダリニー・ヨーガだと思われている。だからちょっと正しく広まっていないんだね。実際のクンダリニー・ヨーガっていうのは、もっと深いものがある。
 まあ、みんながここのクラスでやってるものにも、もちろんクンダリニー・ヨーガがいっぱい含まれています。ムドラーとかはまさにそうだし、瞑想法の中にもいろいろ含まれてるね。で、一般的にはなかなかその実体がつかめないところがあるわけだけど、近代において一番まとまった形でクンダリニー・ヨーガ的な修行をまとめてたのがね、今日やるこのチベットのナーローの六ヨーガといってもいいんだね。
 これはクンダリニー・ヨーガ的な修行の中で――まあちょっとやり方の違いっていうのは結構あるんです。細かいところでね。――あるけれども、まあ一応一つのやり方として、とてもまとまっているのが、今日学ぶものですね。
 はい、前回までのこの勉強会では、前行っていうか準備修行でかなり何回か終わっちゃってたんだけど、今回からいよいよその本体ね、メインの修行に入っていきます。

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