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「今こそ実践を」

◎今こそ実践を

【本文】
十五.人間として生きる今こそ実践をしてください。

 これもさっきの、人間として生まれたチャンスといったこととかかわることですね。

 これはロンチェンパの教えとか、あるいは虹の階梯とかいろんなとこに書いてあるけど――いかに今、この人間として生まれて修行できるってことが、ものすごく稀なことなのかっていうことを、まず第一段階で徹底的に学ばなきゃいけない。そうすると、本当に一瞬も無駄にできなくなります。

 だって、明日死ぬかもしれないんだから、われわれは。全く死がいつ来るか分からない。そう考えたら、このチャンスは無駄にできない。

 われわれは無駄な希望とか、無駄な未来への観測が多すぎるんだね。例えば、「ああ、人生、あと五十年ぐらいあるかなあ……。あんまり気合入れすぎると、ちょっとこれから五十年も全力で修行するのきついからちょっとずつやろうかな」とか思ってたら、明日死ぬかもしれない(笑)。ね。そんな余裕はないんだと。

 このチャンスがいかに稀なもので、しかもそれが無常だから、いつまで続くか分からない。これを常に考えて、全力でやってくださいと。

 これもよく言われる言葉で、これだけの条件が整ってるときに、もしあなたが全力でできないとしたら、もっと条件が悪いときにできるわけないだろうと。ね。それを言い聞かせる。

 今は本当に理想が実現してるんだと。で、そうじゃないときの方が多いんです、われわれは。多かったんだって考えなきゃいけない。例えば教えはあるけど、教えてくれる人がいないとかね。あるいは、極端に言えばさ、目が見えないかもしれない。耳が聞こえないかもしれない。例えば耳が聞こえなかったら、勉強会に参加できない。足がなかったら、蓮華座組めない。ね。目が見えなかったら、本が読めない。精神的に、例えば脳に障害があるとしたら、分析とかイメージとかの修行ができないかもしれない。で、それはわれわれには、常にそれは隣り合わせにあるわけだね、そういう危険性っていうのはね。どんなカルマで何がくるか分からないよ。そのときに後悔しても遅い。病気でいきなり耳が聞こえなくなりました。目が見えなくなりました。「ああ、もっと教えを学んでおけばよかった……」と思うかもしれない。あるいは脳に障害が出て、ものが考えられなくなってきました。「もっと考えられるうちに、心を訓練する努力を全力でやっておけばよかった……」って後悔しても遅い。

 だからそれを常に繰り返し考えなきゃいけない。今これだけ条件がそろってることはありえないぞと。だから今こそ全力で実践するんだっていうことですね。

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