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「不自然なふるまいをしない」

◎不自然なふるまいをしない

【本文】
⑥自らの心の変革に成功しても、それを他者に知らせるために不自然なふるまいはしません。

 はい、これはつまりどういうことかっていうと、みなさんが修行してね、もちろん修行していけばだんだん心が変わっていくでしょう。例えば、以前怒りっぽかった人があまり怒らなくなったと。あるいは以前心が弱くて苦しみに耐えられなかった人が、だんだん耐えられるようになってきたと。あるいは以前嫉妬深かった人が、あまり人に嫉妬しなくなってきたと。これはもちろんだんだんそうなっていく。で、ここで言ってるのは、ある程度心が変わっていい状態になった人が、それを人に知ってもらいたいために、わざわざ不自然なアピールをするってことだね。

 これもだからいろんなパターンがあるからちょっと例を挙げにくいけど――そうだな、例えばですよ、前はものすごい寒がりで、本当に寒さに弱いと。「寒いともう全く修行できない」と言ってた人が、自分と戦ってね、寒さに打ち勝ったと。それはそれで全く問題無いんだけど、で、その人が人との会合になるといつも真っ裸で出て行くと(笑)。わざわざね。別に裸になる必要ないのに(笑)、真っ裸で行くと。で、人に言われると、「あ、いや、わたし、大丈夫なんですよ」と(笑)。「あ、気づきましたか」と(笑)。「いや、つい、いつも裸なんで裸で出てきちゃったんです」とかね(笑)――そんなことやる必要ないよね(笑)。「あ、すごいですね」「あなた本当に心が変わったんですね」って言ってほしくて、そういうことをやってはいけないっていうことだね。

 これは意味分かるよね。つまりそれによって、乗り越えた部分はすごいんだけど、また新たな自分のけがれが生じちゃうから、それをやってはいけないと。

 だから、それもすべてただ流れに任せる。自分の中で多くのいい部分が出てきましたと。でもそれをアピールする必要はない。まあ唯一あるとすれば、自分の師匠にはいいよ。師に対して報告としてね、「わたしは前はこうでしたが、こうなりました」と。これはもちろんいい。なぜかと言うとそれによって師が「あ、そうか」と。「じゃ次はこうだな」とか、そういう一つの基準になるから、それはいいんだけど、そうじゃない周りに対しては一切アピールする必要はない。

 特に以前の自分が悪い部分があった場合、今の自分は違うんだよってことを知ってもらいたいっていう気持ちってやっぱり出てくると思うんだね。でもそれはどうでもいいんです。例えば、以前いろんな性格の悪いところがあってね、で、周りの人も今も自分のことを多分そうだと思ってる。でもいいんです、それで(笑)。本当に自分が変わっていれば。自分が本当に変わっていれば、周りがどう思っていようとそれはあんまり関係がない。そういう自然な気持ちの方がいい。

 で、自然にそれを周りが認識したら、それはそれでもちろんかまわない。自然な形でいろんな出来事があって、「ああ、あなた変わったわね」と。これはこれでもちろんいいんだけども、一生気づかれなくたっていいんです(笑)。ね。一生その人は周りから、例えばね、昔ひどい人で、一生、今でもひどい人だと思われ続けてる。でも本人の中では完全に変わってると。これはこれで全くかまわない。だからそういう自然な姿勢ね。それが必要ですね。

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