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「上に引き抜くこと」

◎上に引き抜くこと

【本文】
☆上に引き抜くこと(ポワ)

 死に際して意識を上に引き抜くというこの教えは、無上ヨーガタントラの大きな特徴の一つである。これは非常に大きな意味のある教えなので、努力して修習しなければならない。

 ポワの法を死の際に実際に実践するには、身体の気道が浄化されていなければならない。浄化されていないのにイメージだけでポワを行なっても、それは意味がない。
 よって生きているうちに、チャンダーリーの火の修行によって、気道を清浄にしておく必要があるのである。

 この「上に引き抜くこと(ポワ)」っていうのは、これはね、つまり、何て言うかな――解脱を生きてる間にもしわれわれがしたならば、必要ない教えです。つまりこれは、まあぶっちゃけて言えば、まず解脱者には必要ない。それから、高い世界に生まれ変わることが確定している人にも必要ない。つまりこの教えが必要な人っていうのは、修行結構やってきたんだけど――つまりね、東大に入ろうとして、一生懸命受験勉強してきたけど、かなり不安だと(笑)。そういう感じだね(笑)。一生懸命修行してきたけど、結局もうすぐ死ぬんだけど、解脱できてないと。しかも絶対的に人間界とか天界とかに行けるかっていったら、何か地獄に落ちる可能性もあると。「やばいんじゃない?」と(笑)――そういう人のための最後の最後のスーパーテクニックだね。もうおまけみたいなもんです(笑)。「しょうがねえな」って感じ(笑)。
 つまりもう一回言うけども、解脱してたらもう生死とか自由になってるから関係ない。で、高い世界に生まれ変わることが決まってたら、もうほっとけば行くわけだから関係ないね。じゃなくて、このポワっていうのは――まあ後から出てくるけども――自分の意志の力で、自分の魂っていうかな、それを高い世界にガーンッて放り投げる修行なんだね。
 でもここに書いてあるように、イメージだけでやってもそれは意味がないよと。つまり、この間のバルドの教えでも出てきたけど、ちょっと簡単に言いますけどね、われわれが死ぬと、エネルギーとそれから意識の塊みたいなものが、人間の穴のどこからか抜けますよと。またはチャクラの場合もあるけど。つまり鼻とか口とか耳とか目とか肛門とか性器とかから抜けますよと。それによって生まれ変わる世界が決まってしまうと。で、一番いいのはこの頭のてっぺんから抜けること。こうすれば解脱の世界か、もしくは高い天の世界に行きます。高い天ってうのは、梵天とかね。つまり高位のアストラルとかのすごい高いところに行けますよと。
 で、普通は――何度も言うけど――自然にそうなるのが最高なんです。自然にそうなるっていうのは、生きているうちから、ほっとけばエネルギーが頭に集中するような状態になってたとしたら、死んだら頭に集中する。それによって頭から自然に抜ける。でもそうはなっていない。何か死んでほっといたら、「あれ? 何かエネルギーの流れが下になってた! やばい!」と(笑)。このタイプの人が、ウッと現実的にエネルギーを操作できるようにしといて、無理やりエネルギーをガッと上に上げてしまう。で、意識をポーンと抜けさせる。これがこの修行なんだね。
 ――ということはもう一回言うけども、イメージだけではしょうがないです。本当にエネルギーを操作できなきゃいけない。で、本当にその意識っていうものを自分の意志の力によって移動させることができるようになってなきゃいけない。これがこの修行です。
 まあだから複雑だよね。相当な上級者にはいらない教えなんだけど、かといって簡単に達成できる教えでもないっていうか(笑)――っていう感じがするね、これはね。ただチベットの多くの信者たちは、この教えを普段からやってるっていわれています。ただそれは現実的にできるかどうかは別です。つまり、まあ気休めじゃないけども――つまりやっとけば、死ぬときに間違わないだろうっていう感じで、多くの人がやってるんだね。このポワの教えをね。ただどの程度の人がこれを現実的にできるかっていうのは、まあ分からないね。なかなかそれは大変だと思います。

(K)先生確か若い頃に、意識がバーッて上に飛んで行って、宇宙にまで行く体験があったって、そういう話を昔していらっしゃいましたよね? それってこれと関係してくるんですか?

 それはね、そうかもしれない。つまり前生とかで、そういう経験をしてたかもしれないし。それは分からない。そうかもしれない(笑)。

(K)よくたまーに誰かがそういう宇宙にいくみたいな話をするんですよ。で、地球を見下ろすみたいな話をするんですけど、何かそういう本当に物理的な上昇なんですよね? もうちょっと内的な意味が含まされた上昇だったのかなって。意識の上昇って。

 意識の上昇は物理的――あのね、つまり物理的に言うと、まずね、その前の段階で、意識の塊みたいのがあるんですね。で、それに意識が完全に没入する状態がある。で、没入したとするよ。没入して、それがグーッて動くと、自分もグワーッて上昇してる感覚があるんだね。そういう感じだね。だからそれは物理的な動きがあって、それに意識が没入してるから――前わたし若いころによく経験したのが、いわゆるクンダリニー・ヨーガとかでエネルギーを回す修行があるわけだけど、エネルギーを回すって、意識の塊みたいなものを中心にエネルギーをグワーッて回すわけだね。これやってたら、それに意識が入っちゃったことがあって、ジェットコースターみたいに、「ウワーッ! ウワーッ!」って(笑)――でも本当にそうなるんです。その段階でバーンッて上に抜けたら、わたしはもう仏陀(笑)。まあ、例えばだけどね。

(K)それって小周天の話ですよね?

 まあ、やってることは小周天。でも小周天自体はそこまで普通行かないんです。ここにわたしがいて、「はい。回ってますね」って感じでしょ? でもそれが高度になると、そこに意識が入っちゃうんです。つまり自分が「ウワーッ!」って(笑)――で、ここまで行かないと、つまり駄目なんです。だって自分がここにいてさ、エネルギーがポーンッて、「何かどうしたんだろう?」――これじゃ全然上に行ってないじゃないですか(笑)。で、こいつに意識が完全に没入しなきゃいけない。没入して、で、その没入したものをボーンッて行くから、もう自分はここに入ってるんです。だからボーンッて行ったってことは、自分が「ウワーッ!」って感じで行ったってことです。感覚的にはね。

(K)自分の経験では、小周天のとき、こんなに小さくなくて、これぐらい大きいのがグルグルしてた感じがしたんですけど。

 いや、それはそれぞれのイメージだからさ。現実的には小さいです。だから本当はね、イメージするときも小さくイメージした方がいいんだね。どういうふうに感じるかっていうのはその人のいろんなカルマであるとか、エネルギーの状態によって変わってくるけども。実際にはすごく小さくイメージするんだね。

(K)気の塊でもなくて、意識の塊なんですか?

 意識の塊――いや、回ってるのは気だけど――つまり、気に乗って意識が動いてるんです。でもそうじゃない場合もあるよ。つまり意識はどこかにあって、気だけが回ってる場合もある。でもこれはそうじゃないんだね。この修行をするには、気の流れに意識をしっかり乗せて、意識をボーンッて行かせなきゃいけない。――っていうことは、まず第一段階で、そもそもエネルギーをいじくれなきゃいけない。エネルギーをコントロールできなきゃいけない。で、コントロールする際に、もちろん気道が詰まってちゃ駄目だよね。詰まってたら動かないから。だからまず気がしっかり通ってて、で、エネルギーがコントロールできるようになってて、エネルギーに意識を乗せて、それを動かせるようになってないと駄目だと。だからこれもなかなか基礎的なことができてないと駄目だっていうことですね。

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