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「ヴィヴェーカーナンダ」(33)

 1898年12月9日、ベルルのラーマクリシュナ僧院の礼拝堂の中に、ラーマクリシュナの像が、ヴィヴェーカーナンダによって正式に安置されました。

 ヴィヴェーカーナンダはこの僧院の栄光ある未来について、こう語りました。
「ここは聖ラーマクリシュナの生涯に実証された一切の信条と信仰の偉大な調和が認められ、実践されるセンターとなるでしょう。そして、普遍的立場に立つ宗教のみが説かれるでしょう。普遍的な寛容性を有するこのセンターから、全世界を満たす善意、平和、そして調和の輝けるメッセージが送りだされるでしょう。」

 
 1899年一月には、ベンガル語の月刊誌「ウドボーダン」の出版が始まりました。
 また、ベルル僧院の組織を援助するために兄弟弟子のサーラダーナンダがアメリカから帰って来て、トゥリヤーナンダとともに、僧院で正規の授業を受け持ちました。
 また、ヴィヴェーカーナンダは自身の弟子たちをインドの各地に布教のために派遣し、兄弟弟子のシヴァーナンダは、布教のためにセイロン(スリランカ)へと向かいました。
 ヴィヴェーカーナンダは、こういった教団の様々な活動の着実な発展を見て喜びました。

 しかしカシミールから帰って以来、ヴィヴェーカーナンダの健康は、日に日に悪化していました。特に喘息が彼を苦しめていました。しかし救済の仕事に関する情熱は、数倍にも増していました。ヴィヴェーカーナンダは言いました。
「アマルナートに行って以来、シヴァ神が私の脳髄の中に入っています。シヴァ神は去っていきません。」

 兄弟弟子たちの熱心な勧めで、ヴィヴェーカーナンダはしばしば治療のためにカルカッタに住みました。しかしそのような時でさえ、信者たちが教えを請うて朝から晩まで訪れたため、ヴィヴェーカーナンダがゆっくりと休息することはできませんでした。兄弟弟子たちが、時間を決めて訪問者と会うように勧めたとき、ヴィヴェーカーナンダは言いました。
「あの人たちは大変な苦労をしながら、家からずっと歩いてきたのです。私が少しばかり自分の健康を害しているからといって、あの人たちと二言、三言の言葉さえ交わしもせずに、ここに座っておられるでしょうか。」

 彼の言葉と態度は、かつての重病のときのラーマクリシュナとあまりにも似ていたので、プレーマーナンダは言いました。
「私たちには聖ラーマクリシュナとあなたとの区別がつきません。」

 ヴィヴェーカーナンダが全霊を傾けて取り組んでいた最大の関心事は、彼のメッセージの将来の伝達者である、修行者たちの訓練でした。ヴィヴェーカーナンダは彼らに瞑想と奉仕活動を奨励するとともに、自ら手本を示しました。彼らのためにヴィヴェーカーナンダ自ら料理をしたり、庭を耕したり、井戸を掘ったりしました。また、彼らに準備もせずに聴衆の前で話をさせることで、伝道者になるべく教育をするのでした。
 初心者には食事についての規定も厳しく定め、また朝早く起き、瞑想し、宗教上の義務を厳しく遂行する、規則正しい生活を奨励し、現世の人々との交わりを避けさせました。そしてとりわけ、どんな形でも、怠惰に流れないようにと絶えず彼らをさとしました。

 ヴィヴェーカーナンダは言いました。
「私には休息はありません! 死ぬまで働き続けます! 行動を愛します! 人生は戦いだ。行動に生き、死のう!」

 ブラフマンに没入する個人的な解脱を欲していた弟子に対して、ヴィヴェーカーナンダはこう言いました。
「なぜですか。サマーディにいつもぼうぜんと浸っていて何になるのですか。不二一元のインスピレーションのもとで、どうしてシヴァ神のように、ときには踊ったり、ときには超意識の中に深く沈んだりしないのですか。ごちそうをより多く楽しむのは誰ですか。――自分ひとりで全部食べる人か、それとも他人と分け合って食べる人ですか。たとえ瞑想によって真我を悟って解脱を得られたとしても、世間にはそれがなんの役に立つだろうか。私たちと共にある全世界を解脱に向かわせねばなりません。偉大なるマーヤーの領域で大火災を起こそう。そのときにのみ、あなたがたは永遠の真理を確立されるでしょう。
 おお、何を、大空のように無限な計り知れない至福と比較できるだろう! その状態においては、あなた方はわれを忘れて、息をするあらゆる生物の中に、宇宙のあらゆる原子の中にあなた方の自我を見ることで、言葉を失うでしょう。
 このことを悟るとき、あなた方はこの世に暮らして必ず偉大なる愛と憐れみをもって人に接します。これこそが、実践的ヴェーダーンタです。」

 またあるときは、同様に自分が救われることだけを望んでいた弟子に対して、こう言いました。
「もしあなた方が自分の救済のみを求めるならば、地獄に落ちるでしょう!
 至高なるものへの到達を欲するならば、他人の救済を求めなさい。個人的な解脱の願いを捨てなさい。これが最も偉大なる精神上の教えです。
 諸君、働きなさい。全身全霊を込めて働きなさい! 望まれているのはこのことです。仕事の結果に心を向けてはなりません。他人のために働いて、地獄に落ちようと、それがどうしたというのか。それは自分だけの救済を求めて天国に行くよりも、はるかに価値のあることです。
 聖ラーマクリシュナは、自分の生命をこの世の人にささげるために来ました。私もまた自分の生命を犠牲にします。あなた方一人一人が、同じようにすべきです。
 これらの仕事はほんの始まりにすぎません。私を信じなさい。流れ出る私の生き血から、全世界に大変革を起こす巨人のような英雄的な働き手たち、神の戦士たちが生まれるのです。」

つづく

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