「ラーマクリシュナーナンダ」（１）

聖者の生涯「ラーマクリシュナーナンダ」

◎師との出会い

　シャシ・ブーシャン・チャクラヴァルティは、一八六三年七月十三日、正統派ブラーフミンの家に生まれました。父のイーシュワル・チャンドラ・チャクラヴァルティは、ヒンドゥー教上の規則を厳格に守り、シャシにも厳格な教育を施しました。
　成長したシャシは、カルカッタのメトロポリタン大学に入学しました。学校の成績は良く、特に好きな科目は英文学、サンスクリット文学、数学、そして哲学でした。
　あるときから彼は、いとこのシャラト・チャンドラ（後のスワーミー・サーラダーナンダ）と共に、当時の新興宗教組織だったブラーフモー・サマージの影響を受けるようになりました。シャシはブラーフモー・サマージの指導者であるケシャブ・チャンドラ・センと個人的に親しくなり、彼の息子たちの家庭教師をおこなうようになりました。

　ケシャブ・チャンドラ・センは、ラーマクリシュナを高く評価していました。一八八三年一〇月、シャシは数名の仲間と一緒に、噂に聞くラーマクリシュナに会いに、ドッキネッショルのカーリー寺院にやってきました。
　ラーマクリシュナは笑顔で彼らを迎え入れ、霊的な生活における放棄の必要性を熱心に話し出しました。特にラーマクリシュナの話は、その中で年長者であったシャシに対して向けられました。ラーマクリシュナはシャシに聞きました。
「おまえは形のある神を信じているのか？」
「神が存在するかどうか、私にはハッキリとわからないので、何とも申しあげられません。」
　シャシのこの率直な答えを聞いて、ラーマクリシュナは非常に喜びました。

　シャシとシャラトは、この時以来、ラーマクリシュナの不思議な魅力に魅了され、彼の信者となりました。
　後にラーマクリシュナは、この二人（シャシとシャラト）は、二人ともイエス・キリストの弟子だったのだ、と言いました。