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「シヴァカ」

シヴァカ

 シヴァカは今から三一カルパ前に、世尊ヴェッサブの時代に良家に生まれた。あるとき、ある用事のために森に入ったとき、そこに座っていた世尊ヴェッサブを偶然見かけた。そこで彼は浄信を持って世尊に近づき、礼拝した。そして森で美しいカースマーリカの果実を見つけたので、それを世尊に供養した。世尊は彼を憐れんで、それを受け取られた。この功徳によって彼は天界と人間界を流転して、世尊カッサパの時代に世尊のもとで出家して、修行に励んだ。そして世尊釈迦牟尼の時代に、世尊の幼馴染であり高弟であるヴァナヴァッチャの妹の子供として生まれ、シヴァカと名付けられた。

 後に彼の母は、家を出た兄のヴァナヴァッチャが、世尊釈迦牟尼の弟子となり、アラハットの境地に達したという話を伝え聞いて、息子のシヴァカに言った。

「お前、シヴァカよ。私の兄である世尊の高弟ヴァナヴァッチャのもとで出家して、彼に仕えなさい。今や彼は高齢です。」

 シヴァカは、過去世からのカルマによって、母親のこの一言だけで世俗を捨て、ヴァナヴァッチャのもとへ行って出家し、彼に仕えながら森に住んだ。

 ある日、シヴァカが用事のために森を出てある村に行ったとき、突然、激しい病気に襲われ、倒れた。村の人々が薬を与えても、病は治まらなかった。シヴァカの帰りが遅いので、ヴァナヴァッチャは心配して村に探しに行った。するとシヴァカが急病で倒れていたので、できるだけの適切な手当てをした。そして日中を二人でその村で過ごしたが、夜中になると、ヴァナヴァッチャは言った。

「シヴァカよ、私は出家したとき以来、村に住んだことはない。森へ行こう。これからも、森にだけ住もう。」

 そこでシヴァカはこう答えた。

「尊者さま、こうして村に横たわっているときにも、私の心は常に森にいるのです。森に行きましょう。」 
 
 そこでヴァナヴァッチャは、シヴァカの片腕をつかんで、一緒に森へと帰っていった。そしてシヴァカは瞑想修行に励み、アラハットの境地に達した。

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