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「エネルギーそのものに焦点を当てた修行」

◎エネルギーそのものに焦点を当てた修行

 で、これはちょっとこのあいだも言ったんだけど、一番いい例がラーマクリシュナ。ラーマクリシュナはハタ・ヨーガを否定しているんです。まあ否定っていうか、ハタ・ヨーガ自体は否定していないんだけど、現代にはハタ・ヨーガっていうのは向いてないと言ってる。なぜかというと、まあ、いろんな意味があるんだけど。
 現代でもよく仏教の人とかは、ハタ・ヨーガを否定する時がある。それは理由として、「いや、それは肉体にとらわれる」とか言うんだけど。ラーマクリシュナも、それよりバクティ・ヨーガで神に祈りを捧げろと言ってた。そのハタ・ヨーガをやめてバクティで祈りを捧げろと言っているラーマクリシュナの悟りのプロセスの話を聞くと、まず尾てい骨からエネルギーが上昇してチャクラを貫いて、とか言っている(笑)。え、それクンダリニー・ヨーガじゃないか、っていう感じがするんだけど(笑)。
 つまり何を言いたいかっていうと、何をやってもこのクンダリニー・ヨーガで生じるプロセスは起きるんです。で、クンダリニー・ヨーガっていうのはそのエネルギーそのものに焦点を当てて、じゃあエネルギーそのものを操作すればいいじゃないかって考えたのがクンダリニー・ヨーガです。じゃなくて、神への帰依とかを中心にしてそれを進めようとしたのがバクティ・ヨーガです。
 お釈迦様のプロセスもクンダリニー・ヨーガ的な感じがあるね、実は。っていうのは、お釈迦様のプロセスでよく出てくるのは、まず瞑想のプロセスとして、悦、喜、軽安、楽、サマーディ、というプロセスがあるんだね。これはいろいろな経典でよく出てくる。これはまさにクンダリニー・ヨーガのプロセスなんです。
 クンダリニー・ヨーガっていうのはまず、このあいだも言ったけど、まず悦、つまり強烈なエクスタシーが起きるんだね。それはクンダリニーが体をグーッと上がる時にエクスタシーが起こって、次にね、精神的な、まあ、それは喜、喜びって書いて「喜」って表現されてるけども、精神的に大変な喜びが発生するんです。それは悟りではないんだけども。精神的にすごい嬉しいっていうか、喜びっていうか、そういう状態がやってくる。
 で、その後に軽安といって、エネルギーが完全に満ちた状態。満ちることによって徹底的に体が軽くなって、体が感じられないような感じになってくる。そこから楽といって、それはちょっとこれから後にも話すけども、チャクラを甘露が満たしていく時の完全な至福感だね。これが生じてそこからサマーディに入るんです。
 で、お釈迦様はもちろんクンダリニーとかそういう言葉は使ってないけども、プロセスとしては同じなんだな、と思うね。そのプロセスを仏教とかはもちろん、心の瞑想とか、日々の徳を積んでとかそういうことを中心とするんだけど、そういうことをやりつつもエネルギーそのものに焦点を当てましょう、というのが、クンダリニーヨーガだね。全体の位置としてはそんな感じだね。
 だからこのあいだも言ったけども、現代、本屋さんとかに行っても、クンダリニー・ヨーガの正しい本って多分一冊もありません。クンダリニー・ヨーガを調べたいんだったら、かえってチベット密教の方がまだいいかもしれない。今知識として出ているものの中では、チベット密教の方が近いです、本当のクンダリニー・ヨーガに。
 クンダリニー・ヨーガの本当の本が出ていないどころか、名前さえ間違えてる(笑)。本当はクンダリニーとかクンダリーとかいう名前しかないんですよ。でも現代でよく使われているのは、よくクンダリーニって使われている。あれは間違いですね。何か堂々と有名な、本当に売れているような本とかでも、クンダリーニ・ヨーガって書いてある。経典とかにあるのはクンダリニーなんです。クンダリニーもしくはクンダリーなんです。
 内容的にも、ちょっとハタ・ヨーガの初歩的な呼吸法とかが載っていてクンダリニー・ヨーガとか言っているんだけど、実際はそうじゃないんだね。もっとすごく深いプロセスがある。

(S)クンダリニー・ヨーガ派というか、そういうグループみたいなものもあったんですか?

 いや、多分いわゆる大きな歴史的な流れとしてのクンダリニー・ヨーガ派というのはないんだけど、ハタ・ヨーガやタントラ・ヨーガの中にそのようなシステムがあって、そのシステムのことをクンダリニー・ヨーガっていっているんだね。
 また一方で、仏教のインド密教とかチベット密教の方にも、クンダリニー・ヨーガといえるものが発達しています。
 例えばカギュー派の「六ヨーガ」の中の特に熱のヨーガ、トゥモという修行があるわけですが、これはほとんどクンダリニー・ヨーガなんですね。
 で、インド密教のいろんな話とか見ていても、大体ほとんどやっているのは、あ、これはクンダリニー・ヨーガだな、っていう世界だね。完全にクンダリニー・ヨーガ化しているというか。
 あと、もうひとつは仙道です。仙道の修行もほとんどクンダリニー・ヨーガです。ただしやり方のポイントがそれぞれちょっと違うんだね。私は全部試してみたけど、仙道はちょっとね、個人的にいうとあまり合わなかったね、仙道的なやり方っていうのは。非常に興味深いんだけどね、仙道的な修行のやり方っていうのは。でもやっぱりヨーガとか密教とかの方がいいかなって感じがしたね。人によってはもちろん仙道の方がいいという人もいるかもしれないけど。

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