yoga school kailas

◎最後の話

 はい、そして、
「心身を完全に統御し、あらゆる所有欲を捨て去った人は、行為をするために体は動かしているものの、悪しきカルマの報いを受けることはまったくない」
と。
 あらゆる所有欲っていうのは、もちろん物質だけじゃなくて、例えば地位とか名誉とか、他人からどう思われるかとか、あるいは我意識自体もそうだね。私っていう考え自体も一つの所有欲です。
 だからあらゆる「私はこうなんだ」とか、「私はこうなのに」とか、「これは私の考えだ」とか、「私のものだ」とか、一切そういうのを捨てて、ただカルマに基づいて全力で行為すると。この人は全くカルマとか関係ないところにいるんだと。
 でもこれは、はっきり言うと、最後の話をしてるんだね。われわれが本当に悟って、カルマ・ヨーガにおいて完全な理想を実現したときの話であって、今日明日これができるっていうじゃないんだけども、一つの指針にはするべきだね。

◎自然に授けられたもので

 そして、
「自然に授けられたもので満足し、あれこれを比べて悩みうらやむことなく、成功にも失敗にも心動かされぬ人は、どんな行為にも」――あのね、ここで「行為」っていう言葉は、一応日本語で「行為」っていっていますけど、「カルマ」っていう言葉です。 つまりね、カルマっていう言葉って二つ意味があるんだね。われわれが何かをなす行為自体をカルマっていうものと、それからカルマの法則性ね。因果の法則。何かやったら、それがそのまま返ってきますよっていうのも、カルマといってる。
 だからここでいうカルマというのは、二重の意味があるといっていいね。つまり、行為に束縛されることはないっていうのは、カルマに束縛されることはないっていうことです。カルマの法則に束縛されないと。
 はいこれも、この一文も毎日読んだらいいかもしれないね。自然に授けられたもので満足しと。ね。つまり、特にわれわれ日本人は豊かなわけだから、貧しい国の人々から見れば、本当に王様みたいな生活をみんな送っているわけだね。でもその中で、われわれは小さな次の欲求を満たそうと、日々躍起になっている。そんなのはどうでもいいんだと。われわれは、神から、神の愛によって、あるいは自分のカルマによって、自然にいろんなものを授けられてる。
 例えば前も言ったけど、自分の反省点として、何ヶ月か前にこのヨガマットがね、あんまりなくて、人が増えてきたから、そろそろヨガマットを買いに行こうかなと思った。そのときに自分の中で、ちょっと盛り上がっちゃって、最近ドンキホーテで千円で買ってきてたけど、あれちょっとあんまり質が良くないから、ハンズで三千円ぐらいのにしようかな、とかね(笑)。いや、チャイハネのやつもいいな、とかね(笑)。いろいろ自分の中でこう盛り上がって、計画があって。で、いろいろあったんだけど、途中でちょっと、あ、駄目だと。貪りであると。――そのときって言うのは、まだ足りないわけじゃなかったんです。ヨガマットがね。足りなくないんだけど、多分足りなくなるなっていう計算があったんだね。足りなくなるから、その時のために用意しとかないといけないなって思っているうちに、楽しくなっちゃって(笑)。いろいろ計画を立ててたんだけど、途中で、あ、貪りだと。そんな、まだ本当に必要になっているわけではないし、しかも今私は足りないヨガマットっていう条件を与えられているわけですよ。だからそれはそれで満足してね、必要であれば勝手に来るだろうと思ってたら、本当にね、その一ヶ月後ぐらいに、ある人が、ちょっとヨーガ教室を移転するんであげます、とかいって、まああそこにもあるけど、なんかものすごい十個か二十個ぐらいだっけ? すごい大量のヨガマットが送られてきて(笑)。
 最初ね、ヨガマットあげますとか言われたから、一個か二個くれるのかなと思ったら、すごいダンボールが送られてきて(笑)。二十個ぐらいヨガマット入ってて。ええ、そうなんだ、と思って(笑)。やっぱり与えられるんだなと。必要であればね。
 つまり、われわれが何かを求めること自体が、神を信じていない。あるいは、神の愛を信じていない。あるいは如来の愛を信じていない。だから放り投げたような人生でいいんだね。そうすれば自然に与えられるし、あるいは本当に必要だったら、与えられないまでも、それを自分が手に入れなきゃいけないような状況に追い込まれたりするんだね。で、自然にそれが整ってくるっていうか。それは何度もいうけど、物質だけじゃない。いろんな、周りからどう見られるかとかもそうだし、あるいは、自分の地位とかもそうだし。必要であればいろんなものが転がり込んでくるし、必要でなければ自分から去っていく。で、そのどっちにも執着しちゃいけんだね。だから「自然に授けられたもので満足し」と。

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