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◎悪友の意味

◎悪友の意味

 はい、他に何かありますか? 

(C)先生、人はマンゴーのように、見かけによらず中身は分からないという教えがあるんですけども、あと人の欠点をみることによって自らの心がけがれるとかあるんですが、「菩薩の三十七の実践」の中に、「悪友から離れる」というのがあるんですけど、そのときに一応、この人は悪友だという判断をしなければいけない。そのときに、悪友だと判断するときに、自分は人の悪いところを見てしまったという、すごく嫌な感情になるんですけど、この二つの教えのバランスはどうやってとって行為をすればいいでしょうか?

 バランスは、今の例で言うと、ある人がいたとして、例えばその人と触れ合ってたら――その人が人の悪口をいっぱい言っていたりして、その人といると自分も悪口を言いそうになってしまうと。これは当然、シャットアウトすべきなんです。現実的にこの人といると悪口を言ってしまうから、それはできるだけ会わない方がいいな――なぜかというと、今わたしがその人において持っている情報というのはそれだけだから、それは離れるという判断が正しい。でも、それだけでその人の全てを理解したように思ってはいけない。それはわたしとの悪い縁があって、そのように一緒にいると悪口を言ってしまうというのがあるけども、実際はその人はわたしの知らないところで、素晴らしい徳の持ち主なのかもしれない。
 悪友というのは、絶対的な悪友じゃないんです。自分といるとそうなってしまうという意味で、悪友なんです。でもこの人の全体を否定してはいけないんです。
 これはね、称賛もそうなんです。その人の全体を称賛してはいけないんです。例えば、Mさんがすばらしい慈愛の心を持っているとするよ。それはその慈愛の心が素晴らしいんであって、Mさん全体が素晴らしいんじゃないんです。Mさんにもしかすると悪いところもあるかもしれない。
 つまりこれは恋愛と同じだね。恋愛というのは、何か一個見て、「あ……」ってぼーっと恋してしまうと、全体がいいように見えてしまう。じゃなくて、Mさんの今発した言葉は素晴らしい。今行なった行為は素晴らしい。しかしMさんの全体は判断しない。
 つまり人間っていうのは、今言った恋愛のように、ある一点によって全体を見てしまう。この人は悪人だと思ってしまうと、もう「オール悪人」になってしまう。だからわたしもよく例に出すように、何か凶悪事件を起こした犯人がいるとして、テレビとかではもう悪の塊のように、「死刑にすべきだ!」ってわーって言うけど、実は超いいやつなのかもしれないよ(笑)。本当はものすごいそのコメンテーターの何十倍もいいやつで、本当にカルマのちょっとしたずれによって、大悪業を犯しただけかもしれない。全く分からない。もちろん違うかもしれないよ。でもそういう柔軟な発想をベースとして持たなきゃいけない。
 だから悪友と接さないというのは、具体的な手段に過ぎなくて、そいつを憎めとか、そいつを心から非難しろと言っているわけじゃないんだね。ものすごく実際的な話なんです。実際的に――これは悪友だけじゃなくても、実際的に自分の修行が後退するようなところには近づくな、ということなんです。
 これはだから異性とかもそうだよね。お釈迦様も、自分が心を奪われ性欲が出るような異性がいるとしたら近づくなと。全然そんなのが出ない人には近づいてもいい(笑)。でも、そういうのが出ちゃう人がもしいるとしたら、お釈迦様は近寄るなと言ってる。「じゃあ、その女が悪いの?」っていうことになるでしょ。その女は悪魔なんですねと――いや、全然違う(笑)。その女は超いい人なのかもしれないけど、自分との関係において、自分がその人のところに行くと性欲が出てしまう。だからこれは自分にとってはその人は「悪友」なんです。でもその人自身は別に悪じゃない。そういう考え方だね。
 さっきCさんが言ったことっていうのは、とても重要なことで、自分がその人のことを「うわ! この人はこんなところが悪い!」と思えるっていうことは、自分の中にその悪があるからだというのは、ちゃんと認識しなきゃいけない。それが相手との悪い縁によって増大してしまうから、それは離れなきゃいけないというのはあるんだけども、でも自分がその人をそのように見てしまうとか、嫌な気持ちになってしまうのは、あくまでも自分の心のけがれなんだっていう気持ちも同時に持たなきゃいけないんだね。だから、ものすごく自分の心の浄化に励まなきゃいけない。
 逆にいうと、悪友がいなくなるようじゃなきゃ駄目なんです(笑)。誰と接しても悪いものが見えないし、誰と接しても煩悩が刺激されない。このような状態になって初めて、悪友がいなくなる。悪友がいなくなるというのは、悪友を全部排除するという意味じゃなくて、自分の中でそのような悪縁や反応する悪しき心がなくなった状態――これを作らなきゃいけない。よって、敵は常に自分の中の魔なんだね。だからそれが相手の中にいると勘違いしてしまうと、間違いに陥ってしまう。

 はい、今日はこの辺で終わりにしましょう。お疲れさまでした。

(一同)ありがとうございました。

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