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パトゥル・リンポチェの生涯と教え(108)

◎パトゥルがさらに多くの物乞いを求める

 あるとき、数日間、貧しい人が一人として、パトゥルのテントに物乞いに来なかったことがあった。物乞いが全然来なかったので、食事や金などのさまざまな供物がパトゥルのところに溜まり始めていた。
 供物が大量に増えてきていることを悲しんで、パトゥルはすぐに二人の弟子に、物乞いを捜して、集め、連れてくるように頼んだ。
 結果的に弟子たちは、大勢のマニ石の石工を連れて戻って来た。

「やるじゃないか!」

 パトゥルは石工たちが近づいてくるのを見て、叫んだ。そして溜まってきていた供物を全部集めて、物乞いたちがパトゥルの部屋に入ってくるや否や、物乞いたちが口を開く前に、「ほれ! ほれ!」と叫びながら、金品などを彼らに向かって放り投げ始めたのだった。そしてすぐに、手元にあった供物をすべて、石工たちにあげてしまった。
 マニ石の石工たちがすべての供物を受け取ると、パトゥルは物凄い安堵感と共にこう言った。

「遂に、徐々に腐っていっている死体のように、そこら中に転がっていた恐ろしい物をすべて手放すことができた。素晴らしいことだと思わんかね?」

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