◎六道輪廻のデメリット
◎六道輪廻のデメリット
【本文】
次に、六道輪廻のそれぞれの世界のデメリットを思念することによって、来世の幸福に対する渇愛の心を退けて、意を解脱に向けるべきである。
これも分かりますね。つまり、六道のデメリットを考えるっていうのは、これはよく密教の加行で出てくるけども――つまり地獄、餓鬼、動物、人間、阿修羅、天のデメリットを考える。
地獄、餓鬼、動物は、もちろん苦しい世界だと。それは徹底的に学んで、決して地獄、餓鬼、動物に落ちないようにしなきゃいけない。
でもある段階の修行者で、天界を目指す修行者がいる。つまり、おれは解脱までは別に望んでいないと。でも地獄、餓鬼、動物は怖いから、来世天の神になって幸せに暮らしたいって思う人もいる。でも、ね、分かると思うけど、天も無常だと。天の神も死ぬと。天に生まれちゃったら幸せすぎて修行できないから、どんどん徳が減るだけで、で、また低い世界に落ちてしまう。これをしっかりと思索するわけだね。
それによって結局、六道のどこに行ってもわたしは安住の地はないと。最終的には苦しみがあるだけだと。よって、わたしは天を目指すんじゃなくて解脱しなきゃいけないんだと。このような心をしっかりと思索して、自分に根付かせるわけですね。
◎菩提心
【本文】
その後に、自己の寂静の安楽への執着を退けるために、慈愛と哀れみの根本を有する、偽りのない菩提心を浄化すべきである。
これはもう分かりますね。その次の問題として、じゃあ天は無常なのは分かった。じゃあ解脱を目指しましょうと。でもここで生じるのは、さっき言ったヒーナヤーナ――つまり自分一人の解脱の安楽に執着して、偉大なる菩薩の道に心が向かわない場合がある。よって、そうならないようにしっかりと菩提心、あるいは慈悲、慈愛、哀れみっていうものをしっかりと学び、瞑想し、実践し、自分に根付かせなさいっていうことですね。
つまりこれは段階的な教えなわけだね。まずはしっかりと、自分がいつ死ぬか分からないっていうことを思い起こして、この世への執着を弱めなさいと。次に、天に生まれてもそれは無常なんだっていうことを知るために、ちゃんと六道の教えを学んで、天ではなくて解脱を目指しなさいと。そして慈悲や菩提心をしっかりと学び、実践することによって、自分だけの解脱、小さな解脱への憧れを捨てなさいと。
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