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◎二つの徳

◎二つの徳

【本文】
 最高の真実を見るために、あらゆるものに対して正しく心を向ける努力をしてください。それと等しい徳の法は他には一つもありません。

 たとえ家柄、容色、知識を具えている人であっても、智慧と戒を欠いているならば、至福を受けることはありません。したがって、この二つの徳を具えるなら、たとえ他の徳がなくても、尊敬されます。

 ここはいわゆる、「智慧と行の二つの徳を積む」という話で、先ほど十力者の説明のところで出てきた「明行足」の話ともつながりますね。また相対的真理と絶対的真理という話にもつながってきます。
 戒を守ること。それはこの相対的な世界において、幸福になる道ですね。
 そして智慧というのは、その相対的な世界を超えた、絶対的真理を悟ることです。
 その二つの柱をしっかりと日々の自分の生きる目標にしなければいけない。
 つまり、まず日々しっかりと戒を守る。
 そして、ここでいう智慧というのはいわゆる空の教えにつながるものだけども、空の教え、あるいは縁起の法などをしっかりと日々教学して、それに基づいて思索し、瞑想し、そしてその思索し瞑想した内容を、自分の日々の生活にあてはめていくわけですね。つまり日々、戒律を守って、この相対的世界で正しく生きながら、同時にもう一つの目をもって、この眼に見える世界の裏側にある本質を観察するわけです。
 まあ実際はここでいう戒というのは、ヨーガ的にいうと、ヤマとニヤマ、つまり禁戒と歓戒を含んでいると思いますね。つまりいわゆる「これをやっちゃいけないよ」という意味での戒と、それからたとえば布施などの、「これをやりましょう」という積極的に徳を積む戒ですね。
 つまりまとめると、日々、厳格に戒を守り、布施などの功徳を積み、正しく教えを学び、そしてそれらと同時に、この世界の本質を常に観察する訓練をする。それがとても重要なことですね。
 これは、このどちらかが欠けると、修行は完成しません。
 しかしもしどちらかに偏るなら、前者に偏ったほうがいいです。つまりまだ空とか縁起とかよくわからないけど、とにかく戒を守り、徳を積もうと。もし偏るなら、そっちに偏ったほうが絶対いいです。まあ、偏るというか、第一の前提としてそれらをしっかりと修め、そしてあとはできる範囲で、空の智慧を深める努力をしていったらいいと思いますね。

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