yoga school kailas

17段階のヨーガ

 古典といわれるヨーガ・スートラにおいては、ヨーガの八段階というものがある。これはもちろんこれですばらしいが、その後に現われたハタ・ヨーガにおいては、また別の段階設定がある。
 それらを踏まえたうえで、仏教的な要素も組み入れ、現代的な修行の段階設定を少しまとめてみました。

1.禁戒
2.経典を学ぶ
3.仏陀や神への帰依・供養・懺悔
4.菩提心の発願
5.クリヤー
6.アーサナ
7.サヒタクンバカ・プラーナーヤーマ
8.その他のプラーナーヤーマ
9.ムドラー
10.トラータカ
11.念正智
12.マントラ
13.各種の瞑想
14.エネルギーの瞑想
15.シャマタ(寂静)の瞑想(サマーディ)
16.ヴィパシャナー(観)の瞑想(智慧)
17.四無量心

1.禁戒

 ◎不殺生・非暴力
 ◎盗みをしない
 ◎不邪淫(できれば禁欲)
 ◎嘘をつかない
 ◎酒・タバコ等をやめる
 ◎貪らない
 ◎怒らない
 ◎誤った見解を持たない

 上記の禁戒は、ヨーガのものに仏教の戒も混ぜました。
 お酒やタバコに関しては、現代では、それがないとやっていけない、やめられない、という人もいるかもしれませんが、その場合はできるだけで結構です。ヨーガ修行が進めば、自然に体が必要としなくなります。

 ◎食物の禁戒

 ハタ・ヨーガは肉体やエネルギーの問題を扱うため、食物の規定が厳しくあります。
 ただし現代では、それほど厳しくしなくても良いでしょう。
 しかしできるならば、ある程度は枠組みを作ったほうが良いです。
 ヨーガでは肉体は「食物鞘」と呼ばれます。つまり食物によって作られた、魂の入れ物という意味です。だからこの肉体を形成する食物を選ぶことは重要になるわけです。

 ☆少なくとも初期のうちは、菜食が良いでしょう。
 ☆冷たすぎるもの(アイスなど)はとらないほうがいいです。 

 あとはさまざまな条件にもよりますので、自分の師から指導を受けるのが良いでしょう。

2.経典を学ぶ

 ヨーガや仏教等の聖典、あるいは聖者が書いた書物などを読み、修行に対する理解を深めます。

3.仏陀や神への帰依・供養・懺悔

 これはそのような理解をもつ人だけでもよいのですが、修行の開始に当たり、仏陀や神々に加護を祈り、また帰依を強め、供養や懺悔の瞑想を行なうことが可能なら、それはこの後の修行に大きな力を与えてくれるでしょう。

4.菩提心の発願

 これもそのような理解を持つ人だけでもよいのですが、修行の開始に当たり、この修行は自分のためではなく、衆生の幸福と苦悩からの解放のために行なうのだ、という決意、誓いをするとよいです。それは修行に大きなパワーと加護をもたらすでしょう。

5.クリヤー

 クリヤーとは、ヨーガやアーユルヴェーダで行なわれる身体浄化作法です。
 アーサナのさらに前段階として、身体の汚れを取り除き、不調和を取り除きます。
 しかしこれは全員が必ずやるべきということでもありません。しかし粘液体質の人はやると良いでしょう。

6.アーサナ

 さあ、やっとアーサナです。もちろん、いきなりアーサナから入っても全く構わないし、実際、私のところでも、初心者はアーサナから始めています。しかし後からでも良いから、上記の1~5を固めていけば、アーサナ以降の進み具合も早まることでしょう。
 アーサナにより、ストレッチ的な効果だけではなく、気道の浄化、神経の正常化、内臓のマッサージなどが行なわれ、徐々に自分の身体を理解およびコントロールできるようになっていきます。

7.サヒタクンバカ・プラーナーヤーマ

 この呼吸法は他にもいくつかの呼び名がありますが、最も基本的なヨーガの呼吸法です。
 この呼吸法により、腹胸式呼吸を身につけ、呼吸は深く安定し、呼吸数は少なくなり、左右のエネルギーバランスは整い、また体中の気道が浄化されていきます。

8.その他のプラーナーヤーマ

 その他、その人の段階・タイプ・目的等に合わせ、数多くあるヨーガの呼吸法のうち、いくつかを修習していきます。

9.ムドラー

 ムドラーにも各種の技法があります。
 全体的にいってムドラーの狙いは、次のようなものがあります。
 ◎クンダリニーの覚醒
 ◎強烈な気の上昇
 ◎強烈に気道を通す
 ◎潜在意識に入り、瞑想状態を作る

 これらによって、クンダリニー・ヨーガのプロセスを速やかに進めると共に、瞑想の準備を整えていきます。

10.トラータカ

 これは外的なものに意識を集中する訓練です。必ず必要なわけではありませんが、一つの効果的な訓練になります。

11.念正智

 念正智とは、自己の心に正しい教えの内容を徹底的に根付かせていくことです。これが後の良い瞑想の準備になります。
 これは修行のときだけではなく、日常を通じて、行なわれなければなりません。自己の心・言葉・からだの動きを常にチェックし、教えに基づいて生きることです。

12.マントラ

 瞑想の中では、マントラは比較的集中しやすいものです。
 マントラは、人間が発する声(音)の中で、聖なるヴァイブレーションを集めたものです。これにより、心の世界を浄化していきます。
 漢語のお経を唱えても、意味はありません。お経ではなくマントラを、できるだけ正確な発音で唱えなければなりません。お経を読むなら、日本語に訳されたものを、意味を考えながら読むようにしてください。

13.各種の瞑想

 イメージを使ったりした各種の瞑想があります。それはより高度な瞑想の準備となります。

14.エネルギーの瞑想

 イメージではなく、実際に覚醒したエネルギーを上昇させ、アムリタ(不死の甘露)を発生させ、チャクラで歓喜を生じさせるなど、実質的なエネルギー昇華の瞑想があります。
 これにより、心身ともに常に歓喜に満ちた状態になります。

15.シャマタ(寂静)の瞑想(サマーディ)

 シャマタ(寂静)と呼ばれる瞑想は、実際は理想はサマーディに入ることです。それにより波のない水面のような、完全に透明で澄み渡り生き生きとして寂静なる瞑想状態が形成されなければなりません。  

16.ヴィパシャナー(観)の瞑想(智慧)

 静まった心を観察し、心の秘密を悟り、智慧を深めていきます。

17.四無量心

 四無量心は実際は全期を通じて行なうのが良いのですが、それが本当に身につくのは、これまでのプロセスでエゴがどんどん少なくなってきてからになります。

 まず瞑想において、慈・悲・喜・捨の心を育てていきます。
 これにより、その人の心の世界は、無限に広がっていきます。
 そして現実生活においても、これらの心に基づいてのみ生きるようにしていきます。
 慈とは、他者の幸福を願い、そのために自分の幸福を差し出す心
 悲とは、他者が苦悩から解放されることを願い、そのために自己が苦悩を引き受けようとする心
 喜とは、他の魂の幸福や進化を喜ぶ心
 捨とは、自分の苦楽に対しては一切とらわれず、すべてを平等に見る心です。

 それまでのプロセスでエゴが破壊され、そしてこの四無量心が確定されたならば、その魂は、ただ他者の幸福の推進と、苦悩からの解放(解脱)のためにのみこの世に存在する魂となっていきます。

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