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解説「菩薩の生き方」第五回(11)

◎バクティと強い意志によって

(S)先生のだいぶ前に書かれてたエッセイで、先生が瞑想中に地獄の世界に行って、それで周りの人を救いたいって思った瞬間に、意識が上がるんではなくて世界がパッて天に変わったみたいな……

 それ、さっき話したじゃん(笑)。

(S)その境地と、ラーマクリシュナが「すべては神に見える」って言うのは、それは同じ境地なんですか? ラーマクリシュナとかブラフマーナンダが、意識が高いときに、衆生っていうかすべてが神々に……

 あ、それは違う。

(S)別なんですか。

 うん。もちろんこれは、意識の――ちょっと微妙な話なんですけどね。それは、例えばじゃあ、AさんとBさんっていう言い方をするよ。Aさんは、すべてが神に見えました。Bさんは、わたしの体験みたいなね、慈悲を持ったらすべてが至福に変わりました。これは、どっちが優れてるとかいう話ではないんだけどね。ただ、より真髄に近い経験はどっちかっていう意味で言ったならば、すべてが神に見える方が真髄には近いですね。つまり、答えを言ってしまうと、すべては神であると。で、次の段階として、二元の世界がありますと。二元の世界として神から分離されていると。で、この世界があると。で、この世界は二元の世界においては心の表われであると。で、この心の表われのときに、こっちの心がどういう状況であるかっていう問題ですね。こっちの心が慈悲で満ちていればこの世は至福であると。こっちの心がけがれていればこの世はけがれであると。
 だから段階で言うと、心の表われの世界がけがれていますね――これは一番低い段階ね。
 次に、心の表われの世界にいるんだけども、心が慈悲だから、世界は至福ですよと――二番目ね。
 で、三番目が、いや、この心の表われ自体がマーヤーであって、実は神しかいませんでしたと。心も何もなかったっていうか。これが最高の段階。
 で、この二と三に関しては、真髄に近いかどうかの違いはあるんだけど、別にどっちが優れてるとかじゃない。それぞれの、なんていうかな、その心を体験するときの役割があるからね。で、これが言い方を換えると、バクティと菩薩道の違いではあるんだけど。でもそのどっちも高めるっていうか、だから、そのどっちかでいつも動いてる――ブラフマーナンダみたいにね。これだったら最高ですね。
 皆さんは、これにもう一つ、悪趣の心が加わってる。ね(笑)。だから皆さんの今の状態は、悪趣、菩薩、バクティ。これで揺れ動いてると。で、ほとんど今、八割ぐらい悪趣であると。八割ぐらい悪趣で、たまに――悪趣、悪趣、悪趣、悪趣、悪趣、バクティ、悪趣、悪趣、悪趣、悪趣、悪趣、菩薩、悪趣、悪趣……(笑)。

(一同笑)

 これが今でしょ(笑)。でもこれは、さっきから言ってるけど、実はカルマというよりは、意志、つまりわれわれの強い気高い心の力によって、この比率を変えられるんです。われわれがもっと真剣になれば――今からでもですよ。だんだんじゃなくて今からでも、菩薩、バクティ、菩薩、バクティ、菩薩、バクティ、菩薩、バクティ、悪趣、菩薩、バクティ――こうなれる、ほんとは。ほんとに、ほんとにもう隙を突かれてたまに悪趣ってなるけども、すぐに立て直して、また菩薩かバクティか菩薩かバクティか。これにほんとはなれるはずなんだね。だからそれはもう頑張ってほしいと思うね。いいですか? 
 はい、ほか、何かありますか?
 ――あのさ、つまり今何言ってるのかっていうと――もちろんわたしの立場から言うとね、皆さんはいつもこう、波があるわけですよね。波があるっていうのは、すごく菩提心に燃えると。あるいはバクティに燃えるときもあれば、もうほんとに心が怒りや批判や執着で満ちてドロドロしてるときもあると。ね。で、また良くなったり悪くなったりと。で、つまり何を言いたいかっていうとさ、悪くなったり良くなったりするんだったら、良くなり続けることもできるはずなんだね、本当は。今まで一度も良くなったことがないんだったら別ですけども、悪くなって良くなって悪くなって良くなってって、これがあるんだったら、良くなって良くなって良くなって良くなって――も本当はできるんです。できるし、確率的にも可能なんだね。でも実際は皆さん、その波といわれるその実体のない流れを肯定してるっていうか。
 「わたし波があるんですよね。悪くなったり良くなったりしてるんですよね」――これはまあ、ただの自分の決意のなさっていうかな。心の緩みみたいなもんであってね。実際は可能だと考えてください。
 だって、ほんとに可能だからね。ほんとに可能っていうのは、例えばさ、ちょっとこれも、例えとして言うよ。一つのほんとに例えですよ。皆さんの中にカードが百枚あるとしてね。百枚ですよ。百枚の中の五十枚が、つまり菩提心とかバクティの素晴らしいカード。で、五十枚が、悪趣的な、怒りとか批判とか執着とかドロドロしたカード。この五十の良いカードと五十の悪いカードがありますと。で、人生で、そのカードを使う日は――日っていうかケースは、五十回と考えてください。で、その五十回においてわれわれは、交互に出したりしてるんだね。でもこっちだけでも出せるんです、ほんとは。この五十回の中、最初五十回――っていうか五十回しかないから、もう、ひたすらこっちの善のカードだけを出し続けると。で、死ぬと。うん。っていうことはこの人は、もう生きてる間、ほんとにもう生きる菩薩でした、ってなるんだね。でも実はもともとストックとして悪いのも半分、同じくらいありました、っていうのは変わらないんです。もう一方の生き方をする人は、さっき言ったように、例えば交互に出すと。半分くらいあるから、自然の流れとして交互に出すと。そうするとその人の人生は、まあ、なんか悪いところもいっぱいあったし、菩薩的なところもいっぱいあった、そういう人でしたね、で終わってしまう。これは前者と後者、持ってるものは同じだとしても、決意というか心の流れによって違ってくる。
 やっぱり最近、ずっとヴィヴェーカーナンダ的な「強くあれ」っていうメッセージがあるけども、これ、言い方を換えるとね――ちょっとこれ、誤解を恐れずに言いますよ。意志、つまりウィル。同じだけど(笑)。意志、ウィルね。意志の力によってカルマ変えちゃえっていうことです。カルマ変えちゃえっていうのは、今言った、ストックしてるものは変えられないけども、交互に出すようなことをやめて――このカルマを変えるっていうのは、カルマの流れを変えるみたいな話だから、大変です。大変ですっていうのは、つまり摩擦とか抵抗はあります。つまり普通だったら流れとして、次、落ち込む時期だと。あるいは次、悪いものが出る時期だと。全力でその運命に立ち向かってください。
 だからわたしいつも言うように、遊び心でね、占星術とかの話をよくするけども、実際にはわたし運命学って好きではない。つまり運命と戦わなきゃいけないんだね。もちろん戦う相手を吟味するっていう意味で運命学を習うのはいいかもしれないけど(笑)。例えばわたしは今――例えば流れとして、あるいは自分の性格として、カルマとして、ここは批判が出る、あるいは相手への怒りが出て当たり前だとしても、戦う。立ち向かう。あるいは流れとして、いつもこの流れで行くとわたしはこういうふうに悪い状態になるってわかってるけども、立ち向かう。絶対これは変えるぞと。絶対にわたしは、ね、教えどおり、あるいは菩薩としてバクタとして恥ずかしくない道を行くんだと。
 で、これは、何度も言うけども、大変です。つまり摩擦があるから。あるいは抵抗があるから。でも絶対変えられるんです。で、そこで大変な思いをして――まあ、これはだから気高い苦しみなんだけど。こういう苦しみはね、どんどん経験してください。つまり、情けない苦しみじゃなくてね。気高い苦しみ。戦いの中での苦しみっていうか。つまり戦いの中での、矢や鉄砲を浴びる苦しみみたいな感じだから。どんなに苦しんでもいいから自分の運命の流れを変えるんだと。
 だから、運命は別にどうでもいい。もしかすると運命で言うとわたしはここで人に多くの悪い心を振りまく運命だったかもしれないが、わたしは負けませんよと。そんなものにはわたしは屈しませんと。運命なんて、それは怠惰に生きる人たちがそのまま乗っかればいいものであって。もう一回言いますよ、誤解を恐れずに言うと、わたしは意志で生きると。
 なんでここで「誤解を恐れず」って言ってるかっていうと、バクティの根本はおまかせだから。ね(笑)。でもこれはね、実は両立できるんです。おまかせだけども、人事は尽くさなきゃいけない。自分の努力は尽くさなきゃいけない。自分の力で、意志で、わたしは悪いカルマに打ち勝つんだと。
 で、ちょっと物語的に言えば、それを本気でやってる人には当然、神が手助けしてくれます。「おお、頑張ってるな」と。で、ちょっと後押ししてくれる。でも本人は――まあ、いい意味でですけどね――いい意味で、自分でやったような達成感があるかもしれないけど。「絶対に意志で乗り越えるんだ」――パッと変わります。だって、わたしも経験あるけどさ、「絶対に自分の意志でこの悪いカルマを乗り越えるぞ!」って乗り越えたことが、わたしは何度もある。でもあとから考えると、「え? なんであれ、乗り越えられたの?」っていうのがあるんだね(笑)。確かに自分も努力したと。でもあれ、奇跡的だろと(笑)。絶対なんかあるだろうと。絶対神の後押しがなければそれは無理であったと。これはわたし個人もそうだし、いろんな人を見てても思うね。だから実際にはこのバクティと自分の強い意志によって――菩提心っていうのはどっちかっていうと意志の力が強いんだけど、実際にはバクティとリンクしてるっていうかな。うん。

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