パドマサンバヴァの秘密の教え(110)「瞑想の経験を保持する」
王は次のように問うた。
「『瞑想の経験を保持する』とはどのような意味でしょうか?」
師はお答えになった。
「さあ、聞きなさい、王よ。
『瞑想の経験を保持する』とは、あなたの心をもくろみや堕落で汚さず、ありのままにしたままでいることである。
あなたの心を自然な、制限のない自由な状態に静止させなさい。
心を外側の何かに置いたり内側に集中することをしないことにより、あなたは執着から自由なままでいることができる。
風によってバターランプの炎が揺れないように、このあなたの生来の本質の、偉大で均一な状態の内に、心を動かさずにとどまらせなさい。
この状態の中に、経験が起こり得る。あなたの意識はあふれ出たり、鮮明になったり、または完全に静止するかもしれない。至福で、輝き、また思考から自由になるかもしれない。よりどころがなく曖昧で、この世界の道理と外れていると感じるかもしれない。これらの経験が生じたら、それらと特別な意味とを結びつけてはならない。何故ならそれらは一時的なものに過ぎないから。全くそれらにしがみついたり、執着してはならぬ。それが『瞑想の経験を保持する』ということである。」
王は次のように問うた。
「『行為の等しい経験を保持する』とはどのような意味でしょうか?」
師はお答えになった。
「ここでの『行為』とは、瞑想状態をとぎれることなく保つことである。
瞑想する対象が何かあるわけではないが、それを注意をそらさず保つことである。
川の流れの途切れることがないように、歩いていようと、動いていようと、横になったり座っていようと、あなたはあらゆる状況においてそれを忘れない。
『等しい経験』とは、如何なるものを見ようと、または五感の悦びのいずれが生じようとも、それをあなたの生来の本質の認識を持って、愛着や執着なしに受け入ることである。
貴重な黄金の島にたどり着いたかのように、あなたは全く何も受容したり拒絶することはない。
これが『行為の等しい経験を保持する』ということである。」
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