◎高度なレベルでの移行
ところでここで問題がある。それは、一般に普通の人で、幽体離脱とか、金縛りの経験をする人がいる。あの、元々ね、修行の素質があってそういう経験がある人は別として、普通の人――うちの弟もそうだったんだけど、たまになんか、金縛りにあったり幽体離脱したりすると。これはなぜかっていうと、修行者はこの火のエネルギーが強まるとそういう経験をするんだけど、普通の人は別に修行しているわけじゃないと。なんでそれが起きるのかというと、さっき言ったように人間界の肉体っていうのはこの水中心なので、肉体が疲れると、水のエネルギーのレベルがガクッと落ちるんです。で、火も弱いんだけど、あまりにも水が落ちるから、相対的に火が強く見えるだね、見えるっていうか、相対的に強い割合になるんです。それによってちょっと霊的な世界に突っ込むんです。
でも、元々低い火だからあんまりいい世界には行けないわけだね。だから金縛りにあって怖い思いをしたとか、幽体離脱をしてなんか怖い思いをしたりする。これは一般のそういう霊的な体験のパターンだね。
修行者の場合はそうじゃなくて、地も水も徹底的に浄化して、そして徹底的に強めて、そして火に移行するわけです。非常に高度なレベルで火に移行するので、まあいろんな、いい意味での神秘的体験をするようになる。
この段階で、非常にエネルギーが強まるので、食欲や性欲が非常に強まります。これは一つの罠なんだよね。それは、それまでは恐らく経験したことのなかった、本当の食欲と性欲です(笑)。つまり我々は、ほとんど情報で食欲や性欲を経験してきたんだね。これおいしそうとか、あるいは若い頃から入れてきた性欲のデータね。そうじゃなくて、本質的に体から沸きあがる、エネルギーに満ちた感じの食欲や性欲が出てきます。でもこれはまさに罠です(笑)。そこで性欲を漏らしてしまったら、もう致命的です(笑)。でも、それはもう、その人の自覚に任せるしかないんだけどね。まあ食欲は性欲に比べたらそんなに致命的ではないが、それでもバカバカあまりにも食いまくってたら、この火から風に移行しないんだね。ここでできるだけ火を強めて強めて強めた段階で、いわゆる元素変換をするんです。元素変換して風になる。そして最後は、風から空に至る。
これが修行の大雑把なプロセスですね。もちろん、本当はもっと細かいんだけどね。
◎五大元素による落下と上昇のプロセス
空にまで至ってしまったら、我々の自と他の区別がなくなる。
これはちょっと比喩として考えて欲しいんだけど、我々は元々この空間みたいなもんなんだね。空間には何の分け隔てもない。だから、私と誰かとか、私とSさんとか、Tさんとか、そういう分け隔てが何も無いんだね、完全な空だね。 しかし我々の徳というものを熱だと考えたら、我々の意識状態が下がり徳が減ることで、冷えてきたんだね、空間が。空間が冷えることで、それは徐々に徐々に気体から液体、液体から固体へと落ちてくるんだね。
で、例えば空間が冷えて、液体になったとしますよ。で、例えば雨が降ったとしますよ。でも、水になったとしても、まだ水の段階としては、ある程度混じり合っているんだね。液体っていうのはね。例えば、液体の種類が違ったらちょっと混じり合いにくいけれども、まあ、ある程度混じり合っているんだね。しかし、固体になってしまったら、はい固体になりましたと。ガチッと凍りましたと。でも、凍ったそれだけではまだ一体だけども、それがもし、ガチ、ガチッて叩き割られたらどうなると思う? 私とSさんが別れてしまう(笑)。もう戻せないんだね、これを戻すことはできない。完全に個と個っていうのができてしまう。これが、ちょっと大雑把な話だけども、我々の意識が冷えて、エネルギーレベルが下がって、低い世界に落ちて、エゴとエゴが分離した状態です。
で、ここから我々はどんどんエネルギーを高めることで、溶けるわけだね。固体が溶け出して、液体となり、だんだんだんだん混ざり合い出す。そして火の状態になって、最終的には気体と化し、空に消えて、あ、皆一つだったんだと(笑)。これがまあ、この地、水、火、風、空で説明した大雑把な修行プロセスだね。もちろん本当はそんなに大雑把なものではないんだけど(笑)、もっと細かいプロセスがあるんだけどね。だいたいの概念として覚えてください。
◎冷えた時代
だからねえ、例えば、現代がなぜレベルが低い時代かっていうと、現代人が求めているものってだいたい物質なんです。だから地なんです。それはお金であるとか、あるいは車であるとか、あるいは自分の欲しいいろんな物質を求め出す。まあ特にお金がそうだけどね。あるいはその、目に見える物、形ある物に心がとらわれる。あるいは、この肉体こそ自分だって思う、ね。この肉体が自分だと。この肉体を着飾りたいと。あるいは肉体を美しくするためにお金をかけても構わないと。こういう発想っていうのは、まさに地元素の世界なんです、ね。
さっきも言ったようにこの人間界は本来は水の世界で、水の世界っていうのはどちらかというと情の世界だから、いや、私はお金はどうでもいいからあなたの愛情があればいいとかね、あなたが大好きなんですよと、あなたの愛情さえあればいいっていう、そういう情緒的な人間的な世界、これが水の世界なんです、本当は。人間世界って本当はこういう世界だったのに、今はそういう情緒的なものよりも、お金とか物質がちょっと優位になってきている。人間世界が冷えているんだね。だから、これをもっともっとレベルを高めなきゃいけない、本当は。
で、高めることによって、何度もいうけども、人間にまず戻って、それから火の元素に来ると、神秘体験とかもいっぱいしだして、ちょっとこの世から意識が外れたような感じになってきます。で、風とかになってくると、まあ、修行をしっかりしていればだけども、もし気道がある程度通って風のエネルギーが自分の肉体の活動の中心になったら、生きているだけで至福の人になります。生きているだけで気持ちいいと。まあ、ちょっと神に近い人になるね。こういう感じで進んでいくわけですね。