「菩提心」④
あなたは、菩提心の決意と、菩提心の実行の二つが、崩れてしまわないように、
常に自己の身口意をチェックし続けなければなりません。
――そのためには、まずあなたは、菩提心を崩す悪とは何か、
明確に知らなければなりません。
次にあげるような破戒のいずれかが犯された場合、菩提心は崩れてしまうでしょう。
①三宝の大事なものを盗む。
②戒を守っている僧を処刑する。
③五逆の罪(父母を殺す、解脱者を殺す、ブッダの体から意図的に血を流す、サンガを分裂させる)を犯す。
④誤った見解を持つ。
⑤町や村を略奪する。
⑥準備のできていない者に、究極の教えを説く。
⑦大乗の信者を作ることを諦める。
⑧小乗に従い、他人をそれに改宗させる。
⑨自己の利益のために自分自身を称賛し、他者をののしる。
⑩秘密にしなければいけない経験を話す。
⑪三宝にささげられた供物を私物化する。
⑫菩提心の決意の継続をやめる。
⑬菩提心の精進の実行をやめる。
――あなたが、これらの行ないによって菩提心が崩れてしまうということを知るならば、破戒、悪はなくなるでしょう。
そしてあなたは、次にあげる四つの黒い行為を避けるべきなのです。
①師を欺くこと。
②真理の実践を行なった人々に、後悔の心を起こさせること。
③菩薩に向かって不愉快な言葉を語ること。
④人々の間で、ずるさ、欺きを修習すること。
そしてあなたは、次にあげる四つの白い行為に頼らなければいけません。
①ブッダや菩薩をよりどころとし、彼らの徳を称賛する。
②衆生に誠実に善を勧める。
③師をブッダそのものと見る。
④高度な思索によって、衆生の幸福を確実なものにする。
他の幸福は自分の幸福よりも大事だと常に考えることは、
菩薩の道の基礎鍛錬になります。
もしそれが、結果的に衆生の真の幸福につながるならば、
三つ身体の悪業(殺生・暴力、盗み、邪淫)や、
三つの言葉の悪業(嘘、意味のない言葉、悪口、両舌)は、
場合によっては、犯しても差し支えありません。
もしそれが真の菩提心によってなされ、本当に衆生の真の幸福につながるならば、
それらは逆に善行になるでしょう。
しかし三つの心の悪業(愛著、嫌悪、誤った見解)は、
どんな時も絶対に犯されてはなりません。
逆に、自己の内的安らぎだけを求めることや、
ただ現世的な幸福を願って善行をなすことは、
たとえそれが善行であっても、
菩薩の道においては、堕落になります。
菩薩には、三種類のタイプがあります
まず自分が早く解脱してから、衆生を解脱させたいと思う者たちは、
「王のような菩薩」です。
衆生とともに解脱したいと思う者たちは、
「船頭のような菩薩」です。
早く衆生を解脱させ、自分が最後にニルヴァーナに至りたいと思う者たちは、
「羊飼いのような菩薩」です。
経典によると、「王のような菩薩」は、三十三アサンキャ(膨大な時間の単位)のカルパ以内、
「船頭のような菩薩」は、七アサンキャのカルパ以内、
そして「羊飼いのような菩薩」は、三アサンキャのカルパ以内に、
それぞれの素養に応じて、ブッダの境地に到達すると言われています。
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