要約「スートラ・サムッチャヤ」(2)「八難」
◎八難
また、「八難」に遭遇している人は、神聖なる修行に励むチャンスがない。
八難とは何か。
地獄に生まれた者は、修行ができない。これが第一の難である。
動物に生まれた者は、修行ができない。これが第二の難である。
餓鬼に生まれた者は、修行ができない。これが第三の難である。
辺境の地に生まれた者は、修行ができない。これが第四の難である。
盗人や野蛮人のような、愛著や怒りが非常に強い者たちの中に生まれると、修行ができない。これが第五の難である。
言葉を理解できない者として生まれると、修行ができない。これが第六の難である。
またある者は、如来が法を説かれた時代に生まれても、誤った見解を持つために、布施や供養を施すこともない。そしてカルマの法則も信じず、来世も信じない。このような誤った見解にとりつかれた者は、たとえかたち上、修行の道に入ったとしても、真にダルマを悟り得ることはできない。これが第七の難である。
またある者は、人間界に生まれ、能力があり、愚か者でもなく、正しい見解を持ち、修行の道に入るが、如来の教えがない時代に生まれた。これが第八の難である。
◎信
タターガタグヒャ(如来秘密経)には、次のように説かれている。
「善男子や善女人が、優れた心によって、無上の正覚に発心することが、信である。
また、聖者とお会いしたいと欲すること、
正法を聞きたいと欲すること、
物惜しみやむさぼりを捨ててたくさんの布施をすること、
自ら布施をすることに喜びを持つこと、
供養を行なうこと、
戒を具足すること、
布施を完成すること、
心にこだわりがないこと、
無垢な心を持つこと、
カルマの法則を信じること、
疑念を持たずに信と理解を持つこと、
自分がなしたカルマからは逃げられないと知って、命に代えても悪を為さないこと、
これらが信である。」