「ミラレーパの生涯」第三回(6)
「己から分かちがたいものとして守護神を瞑想したので、粗雑な感覚の世界のことは忘れてしまいました。」
これも――一つ一つ長く解説すると長くなっちゃうんで、簡単に言いますよ。例えばここでもやるようなヴァジュラサットヴァや観音様や、あるいはね、まあ今後いろんなね、いわゆる生起の瞑想ですね、神の瞑想を、このカイラスでもどんどん皆さんに教えていきたいと思いますが、そういった、神に変身したり、あるいは神をリアルにイメージしたりする瞑想がいろいろあるわけだけども、それをひたすらやってると。で、ひたすらやってたがゆえに、粗雑な感覚の世界のことは忘れてしまったと。
これはつまり簡単に言うと、さっきの変容の話とも関係あるんですが、そういうことをひたすら瞑想してると、もうほんとにその人のイメージの世界は完全に――例えばですよ、目をつぶれば神が出てくると。目を開けててもなんでも神に見えると。こういうふうにだんだんなってくるんだね。つまりアストラルと呼ばれるわれわれの潜在意識の世界が、神聖なヴィジョンでいっぱいになると。これもわれわれは目指さなきゃいけないんだね。
で、逆に言うと、われわれは今この粗雑な感覚世界に完全にはまってしまっている。その意識がこの五感を通して、この非常に限定的な、現実と呼ばれる限定された人間世界のイメージで頭がいっぱいになってるわけですね。でも皆さんがしっかりとこのイメージ的な神の瞑想を繰り返すならば、このまあ人間界レベルの、この感覚世界のイメージ、あるいは意識っていうのはなくなってしまうと。それくらいを目指さなきゃいけないっていうことだね。