パドマサンバヴァの秘密の教え(98)「善と悪の複雑さを切り抜けること」
◎善と悪の複雑さを切り抜けること
師パドマはこう仰った。
「ダルマを修習するときは、善行と不善行の複雑さを切りぬけることが必要である。」
ツォギャルは尋ねた。
「それはどういう意味でしょうか?」
師はこうお説きになった。
「エゴの観念を持つ概念的思考が尽きた時、ダルマはなく、邪悪な行為もない。カルマもなく、カルマの果報もない。そうなると、善行と不善行の複雑さを切り抜けたのである。
そうであるから、エゴの観念を持つ思考に終止符を打つまでは、不徳な行為はカルマを増やし、結果を生むであろう。また、有徳な行為もカルマを積み、結果をもたらすであろう。
概念的思考が尽きるとき、善悪の行為の蓄積はなくなり、どんな果報ももたらされないだろう。これは「原因と条件の枯渇」と呼ばれている。あるいは、「究極の真理」とも呼ばれている。
未来において、堕落した時代の500年の間に、粗雑でネガティヴな感情に耽る人たちがいるだろう。それは、エゴへの執着を認識せず、概念的思考を減らそうとしないからである。
彼らは究極の見解を持っていると称し、善悪の行為の結果について注意を向けることは低い見解であると主張するだろう。
カルマの法則をけなし、自分の心は悟りを得ていると主張するだろう。
軽薄で放縦に行動する者たちがいるだろう。
彼らの行いは堕落しており、彼ら自身と他の人々を邪悪な方向に向かわせるだろう。
一瞬たりとも、彼らのようになってはならない。」
無智な女である私ツォギャルは、長い間、ニルマカーヤの師に仕えました。
様々な機会に師は、ダルマの修習についてアドヴァイスをお与え下さいました。
私はそれを後世のために、完全な記憶の中にしっかりと留め、集め、書き残しました。
それらはこの時代に広まることを目的とされていませんでしたので、これらの教えを貴重な宝として隠しました。
これらが価値ある、使命のある人々に出会いますように。
この「質疑応答による教えの輪」は、雌豚の年の秋、2つ目の月の25日目に、チンプーの上の洞窟で記録されました。
宝の封印をせよ。
秘密の封印をせよ。
委託の封印をせよ。
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