グル・リンポチェ(大聖パドマサンバヴァ)(10)
◎モンのタシ・キーテン
タシ・キーテンはサマヤターラーの転生として、モンで生まれました。モンとは、シッキムとブータンを含んだインド国境のチベットの南部あたりのヒマーラヤの名称です。
タシ・キーテンのダルマへの信念は幼少期に芽生えました。夢の中に出てきたダーキニーの啓示に導かれてチベット南部のロタクへ行き、そこでイェシェー・ツォギャルと出会い、アビシェーカと教えを受けました。その後、グル・リンポチェに深遠な教えの本質を授けられ、修行によって密教的成就を獲得し、グル・リンポチェのコンソートになりました。
ブータンのタクツァンでは、グル・リンポチェと共にヴァジュラキーラのサーダナを修行しました。グル・リンポチェがドルジェ・トロとして顕現したとき、タシ・キーテンは雌のトラに姿を変えてグル・リンポチェの乗り物となり、誓約によってチベット中のすべての強力な非人間的霊魂を調伏しました。 タシ・キーテンは、チベットにおいてイェシェー・ツォギャルと共に最も慈悲深いダーキニーでした。その後、彼女は跡形もなく【銅色に輝く山】の浄土へと消えていきました。