マニバドラーあるいはヨーギニー・バフリ
マニバドラーは、またの名をヨーギニー・バフリといいます。
アガルツェという町に、13歳の娘を持つ裕福な家長が住んでいました。この娘は自分と同じ階級の男に嫁ぎましたが、その後、両親の家を訪ねて来ていたある日、グル・クックリーパが娘のところにやってきて、食べ物を求めました。
「あなたは容姿がこのように美しいのに、どうして托鉢で生活し、ぼろ布を縫い合わせただけの服を着ているのですか。同じ階級の妻をめとるのが本当です。」
クックリーパは、答えて言いました。
「わたしはサンサーラにおびえ、恐れている。それ故、解脱である最も優れた大楽を修行する。
もしも、この幸運な生涯において修行しなければ、
どうしてまた来世でダルマに出合えようか?
宝石のように貴重なこの生が、
もしも、配偶者のような不純なものに包み込まれてしまうならば、
わたしの人生の望みは、無に帰してしまうことだろう。
わたしにはそうなることがわかっているから、妻をめとらないのだ。」
彼女は信を生じさせ、施しを捧げ、言いました。
「わたしに解脱を得る方法を教えてください。」
クックリーパは告げました。
「わたしのすみかは死体捨て場の中にある。もし欲しいのならば、そこに来なさい。」
非常に困難でしたが、娘はその夜、真夜中近くに、死体捨て場へと行きました。娘に教えを受ける準備が整っているのを見て、クックリーパはチャクラサンヴァラのイニシエートをし、生起次第と完成次第、そしてそれらを完全に一体とする教示を伝授しました。そこで彼女は数日間修行しました。
両親の元へ戻ると、娘は二人から打たれ、罵倒されました。彼女はこう言いました。
「この宇宙の三つの世界には、父と母でなかった魂はありません。
階級や偉大な血筋もまた、輪廻の鎌首から解脱するものではありません。
わたしはグルをよりどころとして、解放に向けて努力します。
だから、ぶってください。・・・・・・私はそれを道として受け入れます。」
両親は、わずかに信仰を生じさせ、それ以上何も言いませんでした。
彼女はグルの教示を瞑想し、世俗の行為と義務を放棄しました。そうして一年間修行すると、かつての夫がやってきて、彼女を自分の家に連れて帰りました。夫の家では、普通に皆がやるように、世間の行為と義務に従って振る舞いました。言動も慎み、優しい言葉を話していました。また、男の子が一人と、女の子が二人生まれました。ある日のこと、彼女は男の子を祝福に連れて行きました。そのとき、グルと出会ってからすでに12年が経過していました。
水を汲みに行き、家に戻ろうとしたとき、木の根元につまずいて、水瓶を割ってしまいました。壊れた瓶をじっと見つめながら、彼女はその場に立ちすくみ、昼になっても家に帰りませんでした。夫がやってきて、そこにいる彼女を見つけました。彼女は割れた瓶を見つめたままでした。彼女に誰が何を話しかけても、彼女は聞こえていない様子でした。ただ割れた瓶をひたすら見つめ続けていました。人々は皆、「霊にとりつかれたのだろうか」と言いました。
そして太陽が沈む頃、彼女は口を開きました。
「無始の過去から、生き物たちは
肉体という瓶を壊します。
どうして家へ帰れましょう?
わたしの瓶はたった今、壊れました。
サンサーラの家には帰りません。大楽へと赴きます。
ああ、グルは大いにすばらしきかな!
至福を得たいならば、彼に帰依しなさい。」
そう語ると、彼女は空に浮かび上がり、そして21日間、アガルツェの人々に教えを説きました。その後、ダーカの世界に行きました。
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