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回向の秘密

 回向とは、自分が積んだ徳や、修行の果報を、自分は受け取らず、すべての衆生の幸福や解放のために使われますようにと願うことです。
 この回向の意味については様々な角度から説明ができますが、今日はまた新しい方向から説明してみたいと思います。

 この回向の祈りを日々何度も真剣に行なっている人は、どうなっていくでしょうか?
 回向の願いによって、自分の徳を他者に与えます。
 これによって他者は幸福になります。
 つまり他者を幸福にしたということになるので、その徳がまた自分に返ります。
 自分に返ってきた徳を、その人はまた他者に回向します。
 これによって他者はもっと幸福になり、その徳がまた自分に返ります。
 つまり彼がこの回向の気持ちをやめない限り、自分と他者の間で徳と幸せが増大し続ける無限ループになるのです。

 しかし普通はこの世界では、逆のことがおこなわれています。
 人はエゴを追求することで、他者を傷つけます。
 その悪業が苦しみとして自分に返ってきます。
 でも彼はカルマの法則を知らないので苦しみを嫌い、その苦しみが他者に行けばいいと願ったり、実際に苦しみを他者に押し付ける行為をします。
 これによって実際に他者が苦しみます。
 他者を苦しめたその悪業が、また苦しみとして自分に帰ります。
 彼はまたそれを他者に押し付けようとします。
 こうして、自分と他者の間で悪業と苦しみが増大し続ける無限ループになるのです。

 前者の無限ループの行きつくところは解脱、浄土、そしてこの世の楽園であり、
 後者の無限ループの行きつくところは地獄、悪趣、そしてこの世の地獄です。
 
 よって常に他者の幸福を願い、徳と幸せの無限ループの中で生きましょう。

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