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クリシュナ物語の要約(27)悪魔ケーシーと悪魔ヴィヨーマ

(27)悪魔ケーシーと悪魔ヴィヨーマ

 カンサの命を受けた悪魔ケーシーは、巨大な馬に変身すると、ヴラジャへ向かい、クリシュナに向けて突進しました。そしてその後ろ足でクリシュナをけり上げようとしました。
 しかしクリシュナはそれを素早くかわすと、両手でその馬の後ろ足をつかみ、振り回して遠くへと飛ばしてしまいました。

 大地に落ちて気を失った悪魔ケーシーは、しばらくして意識を取り戻すと、再びクリシュナに向かって突進してきました。しかしクリシュナは少しも恐れずに、顔には笑みさえ浮かべて、その左腕を、突進してきた悪魔ケーシーの口の中に突っ込みました。
 口の中に突っ込まれたクリシュナの腕を、悪魔ケーシーが噛み砕こうとした瞬間、その歯はすべて抜け落ちてしまいました。さらにそのクリシュナの手は、どんどん大きくなっていきました。それによって悪魔ケーシーは窒息し、苦しみのあまりに手足をばたつかせて、糞尿を垂れ流しながら、ついには息絶えたのでした。

 空からその戦いを眺めていた神々は、大いに驚き、クリシュナの上に無数の花を振りまきました。

 その後、神仙ナーラダがクリシュナのもとにやってきて、次のように告げました。

「ああ、クリシュナ、クリシュナ、人知を超えた偉大なるお方よ。ヨーガの自在者の最高の主よ、ああ、全智全能の主よ。全宇宙の支配者よ。宇宙に遍在るお方よ!
 あなたはすべての生物に宿る魂であり、全存在の目撃者なのです。あなたは偉大なる魂であり、すべての生き物の管理者なのです。
 創造の夜明けが来ると、あなたはマーヤーを用いて三つのグナを発生させ、この宇宙を創造、維持、そして破壊されるのです。
 あなたは地上の王として生まれ変わった悪魔どもを滅ぼして、徳ある人々を守護するため、この物質世界に降誕されたのです。
 そして神々さえも逃げ出すこの悪魔ケーシーを、戯れるようにして始末されたのです。

 ああ、全智全能の主よ。今から二日後、私は、チャーヌーラやムシュティカ、強大な象クヴァラヤーピーダ、そしてカンサが、あなたに殺されるのを見るでしょう!
 そしてその後、あなたの様々なリーラーを、私は見るでしょう!
 さらにあなたが、全宇宙を滅ぼすカーラとなられて、アルジュナの御者となって、多くの軍隊を滅ぼされるのを、私は目にすることでしょう!

 純粋な意識そのものであるあなたは、自らの祝福に確立されて、それだけですべての目的をかなえておられるのです。あなたは全智全能であり、そのあなたを、私は請い求めるのです!
 ああ、全能の主であるクリシュナよ、あなたはマーヤーを用いてさまざまな世界を発生させ、ただ遊戯として人となられた、ヤドゥ、ヴリシュニ、サートヴァタ族の最高者なのです。私はあなたに幾度も礼拝を捧げるでしょう!」

 クリシュナの最高の献身者である神仙ナーラダは、このように祈り、クリシュナに礼拝を捧げると、クリシュナのお姿を目にしたことを喜びながら、そこから去っていきました。

 
 またその後のあるとき、牛飼いの子供たちは、山の高台で牛たちを放牧する間に、かくれんぼ遊びをして楽しんでいました。ある者は泥棒の役となり、ある者は万人の役となり、またある者は羊の役となって、楽しく遊んだのでした。
 するとそこに、悪魔マヤの息子である、魔術にたけたヴィヨーマがやってきました。ヴィヨーマは泥棒役の子供に変身すると、羊の役をしている子供たちを、次々とその場からさらって行ったのでした。
 悪魔ヴィヨーマはその子供たちを山の洞窟に閉じ込めると、入口を大きな石の板でふさいでしまいました。
 それを知ったクリシュナは、子供たちをさらに連れ去ろうとする悪魔ヴィヨーマを捕まえると、大地に思いきり放り投げて、たやすく始末しました。
 そして洞窟をふさいでいた石を粉砕して、子供たちを救出すると、神々や仲間たちが賛美する中、ヴラジャへと戻って行ったのでした。

つづく

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