「私が見たアドブターナンダ」より抜粋(4)
ラトゥはシムラーにある彼の主人の家に帰ったのだが、もうこれ以上、仕事に従事するのは不可能であった。
彼は、何かを頼まれたらもちろんそれをこなしたのだが、ただそれをポーズとしてやっていた。しかし誰も、彼がそれらを全くの不本意でやっているとは気付かなかった。
しかし彼の主人のラームダッタだけはそれに気づき、心配した。
家の女主人は、彼の召使いらしくない振る舞いに少し傷ついたが、何も言わなかった。
ある日、ラームチャンドラダッタはドッキネッショルに一人で行き、ラトゥが仕事に対して全く興味をなくしてしまったことを師に知らせた。
師はこうお答えになった。
「ラームよ、それは仕方がないよ。
彼の心はここに来ることを渇望している。
どうか、またあの子をここに送っておくれよ。」
それに従って、ラームダッタは次の日に、ラトゥをドッキネッショルに送った。
師と少年の間で何が起こったのか。
われわれはそのことを、医者であるカヴィラージ・マハーシャヤから聞いた。
彼はある日、ドッキネッショルに来て、健康がすぐれないラーマクリシュナに、転地療養のために故郷のカーマールプクルに帰るようにと助言していた。
われわれは以下のことを聞いた。
シュリー・ラーマクリシュナは仰った。
「なあラトゥ、お前がここに来たいという真剣な願いは知っているよ。
だがね、そのために、主人のお勤めを疎かにするのはよくないねえ。
お前はラームから、寝るところとか、食事や衣服、それに必要なものはぜんぶもらっているじゃないか。
それなのに彼の仕事をしないなんて、その報酬に対して不誠実だよ。
いいかい、絶対に恩知らずになってはだめだよ。」
おしかりを受けて、この純真な少年は泣きじゃくり、感情で声をつまらせて、自分の無力さをさらけだしてこう言った。
「もう他の誰にも仕えません。
僕はここであなたと一緒にいたいのです。
僕はあなたにお仕えいたします。」
師はこうお答えになった。
「ここにいたい、と言うのかね? でも、ラームの仕事はどうするんだ?
ラームの家族は私のものでもあるのだよ。
どうして、その一家の中で暮らせないんだい?」
それでも、その少年はそれを理解しなかった。
おそらく、話を聞いていなかったのだろう。
眼をキラキラさせて、彼はこう言った。
「もうあそこには帰りません。ここに住みます。」
師は笑って、こう仰った。
「でも私はここからいなくなるんだよ。
(カヴィラージ・マハーシャヤを指して)彼らが私を故郷に連れていくんだとさ。」
ラトゥは無言のままだった。
こう言われて、彼は何も言い返せなかった。
しかし、師は彼のハートに希望を植え付け、こう仰った。
「私が故郷から帰ってきたら、お前はここに来て、私と一緒に暮らすとよい。
だから、ちゃんと辛抱するのだよ。」
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