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「解説『至高のバクティ』」第4回 「バクティ」⑤(1)


20120718 至高のバクティ5

 はい。今日は先ほども読みました『至高のバクティ』の一番最初の「バクティ」ですね。これはさっきも言ったように、『ナーラダバクティスートラ』といわれるバクティヨーガの重要な経典の一つですね。それをちょっと分かりやすくまとめ直したやつですね。今日はこの続きで、本で言うと六ページの終わりの方ですね。「それだけを、まことにそれだけを、人は求めるべきである」というところからね、読んでいきましょう。

【本文】
 それだけを、まことにそれだけを、人は求めるべきである。
 悪しき者との交際は、何としてでも避けるべきである。
 なぜならそれは、愛著と嫌悪、迷妄、念と正智の欠如、すべての災いの原因となるからだ。
 悪しき者との交際により、悪は初めはさざ波のようでも、やがて大海のように拡大してしまうだろう。
 誰がこのマーヤーを超えられようか。誰がそれを超えられよう。それは悪しき者との関わりを捨てて、聖者に仕えて、自己本位な思いを放棄した者であろう。
 雑踏を避けて、現世的束縛を断ち、三グナの影響から解放され、物欲と所有欲を放棄した者であろう。
 現世的活動とその結果を放棄して、相対的思いを超越した者であろう。
 ヴェーダをも超越して、至高者への激しき不断の愛を獲得した者であろう。
 彼こそがそれを超えられよう。まことに彼こそがそれを超えられよう。そして彼はこの世のすべてを超えることだろう。

 
 

 はい。これは前回の前までのところを受けてきているわけですね。つまり前回読んだところは、逆にね、聖なる師、あるいは至高者と同一なる師としっかりと巡り合い、そしてそれへの帰依をすることの重要性というのが一番バクティの修行においては大事なんだということを説いて、それと相反するものとして、逆に悪しき者というのが出てくるわけですね。

「悪しき者との交際は、何としてでも避けるべきである。それだけを、まことにそれだけを、人は求めるべきである。」

 「悪しき者との交際は、何としてでも避けるべきである」――つまりもう一回言うと、「それだけを」と言っているのは、聖なる師――これはもうちょっと広げると、聖なる、自分と縁のある師匠、そして聖者、そして聖なる法友、そして聖なる、自分と善い聖なる縁を持つ人々――これとの縁だけを求めなさいと。そして悪しき者との交際は何としてでも避けろと。ね(笑)。
 これは何度もここでは言っているけどね、お釈迦様が全く同じことを繰り返し説いている。お釈迦様の原始仏典を研究すると、善友と交われ――つまり「善き友と交われ。悪しき友と交わるな」ということを本当に繰り返し説いているんですね。これは前にも言ったけど、有名な仏典があって、アーナンダというお釈迦様の持者の弟子がね、あるときお釈迦様に「お釈迦様、わたしは気付いたことがあります」と。お釈迦様が「どうしたんだ? 言ってみなさい」と。「悪友と交わるな、善友と交われ――この教えは、修行道の半分ぐらいを占める重要な教えではないでしょうか?」と言ったんだね。そしたらお釈迦様がそれに答えて、「アーナンダよ」と。「お前は二度とそんなことを言ってはならない。」「その教えは修行のすべてである。」と言ったんだね(笑)。つまり百パーセント、それが修行の可否を決める、成功失敗を決めるすべてだと言ってもいいぐらいのことなんだと言っているんですね。
 これはここでは何度も言っているように、分かると思うけども、結局人間っていうのは、社会的というかな、人の影響なしではいられない生き物なんだね。それを自覚してるしてないは別ですよ。自覚しているしていないは別として――つまり自分では意志が強いように思って、「おれはおれの道が!」とか言ってても、実際には――これ本当、怖いですよ。怖いですよっていうのは、話しただけでも、あるいは話さなくても(笑)、そばにいるだけでも、あるいはもちろん情報という意味でもね――現代ではこの情報も怖いよね。昔みたいにただ悪い人と接するな、だけではなくて、普通にインターネットとか見たらいろいろなバーッて情報が入ってくる。あるいはいろんな本があると。まあインターネットが一番現代では怖いでしょうね。だってこっちの意識とは関係なく――まあテレビとかもそうだけどさ、ちょっと押したりするとバーッと出てきてしまう(笑)。いつも言っているツイッターとかもそうだし、あとほかのいろんな、ミクシィとかいろんなものもそうだけども。いろんなその――いつも言うようにさ、聖者だけのコミュニティとかね、聖者だけのツイッターだったら全く問題ないですよ。これは逆に自分が落ち込んでても聖なる教えがバンバン来るからいいんだけど(笑)。じゃなくて自分が別にそんな状態じゃないのに、怒りの情報とかね、あるいは性欲の情報とか、あるいは軽薄な現世的な世俗的なのがいいんだという情報がどんどん入ってくる。

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