yoga school kailas

勉強会講話より「解説『至高のバクティ』」第4回 「バクティ」④(8)

 こういう話、こういう考え方を突き詰めていくと、まさにこの世界観がちょっと崩れてくるんですね。皆さんが現実だと思っている世界が崩れてくる。すべては心の現われである、あるいはすべては内在する要素――これをカルマと言ってもいいわけだけど、これが皆さんの中にヴィジョンとして現われている夢の連続に過ぎない。だからこの意味で言うならば、皆さんがこの夢に固執するならば、当然過去もあるし未来もある。夢を夢と見るならば、過去も未来もないんだね。でも皆さんは夢から離れられないから、だから過去もあり未来もあり、そして過去生もあり来世もあるんです。だから輪廻って終わりがないんです。終わりがないというか始まりも終わりもないんです。輪廻に始まりも終わりもないというのはこういう意味ね。つまり夢って始まりも終わりもないから。言ってみればね。夢の中の世界観っていうのは、入ってしまった瞬間に始まりも終わりもない世界に入る。目覚めた瞬間に、始まりも終わりもない世界自体がないっていうか。うん。まあ目覚めの境地に入るわけですね。
 はい。だからちょっとそういう意味なんだね。だから単純に聖者とか師匠というのは偉大な修行を達成したからみんなを導くんじゃなくて、そもそもみんなを導くおおもとの偉大なる力があると。それが皆さんに分かりやすいかたちで現実化された存在が師なんだってことですね。
 この、ちょっとある意味難しいけども、このフィーリングをまず頭で理解して、で、それをちゃんと悟るようにしないといけない。で、それがここに簡潔に書いてあるね。「聖なる師の導きはまことに理解し難い」って書いてある。逆にいうと、理解し難いっていうことをちゃんと受け入れなきゃいけない。
 この極論が、極端なパターンが――まあこれもそのうち本として出す予定ですが、ティローパとナーローパの話ね。この勉強会の内容がとてもいい内容だったのでまた近々本として出す予定ですけども――つまりティローパとナーローパの師弟関係というのは、わけが分からない(笑)。客観的に見ると全くわけが分からない。でもナーローパは何やられてもついていくと。つまりいつも言うように師匠が、命令でさえなくてね、「ああ、おれに弟子がいたら、この高い塔のてっぺんから飛び降りただろうな」って言うわけだね(笑)。そうするとナーローパは躊躇せずにポッと飛び降りると。あるいはあるときは炎の前で、「おれに弟子がいたら飛び込んだだろうな」って言うわけだね(笑)。そうしたらバッて飛び込むと。
 これは、この一連の作法っていうのは、ちょっとよく勘違いした人がね、変な解説してて、つまり弟子の帰依を試すためとか、あとはカルマを落とすためとか言っている人もいるけども、まあその面もあるかもしれないけど、実際はそうじゃないんです。これはまさに何度も言うように、キーなんです。だから何度か言っているけどさ、映画の「マトリックス」ってありますよね。あれなんかとても素晴らしい仏教的あるいはヨーガ的世界観を表わしているんだけど、つまり完全に仮想現実であると。あれさ、ちょっとわたしも忘れちゃったけどさ、仮想現実から抜けるキーがあったりするよね。あるいは例えば、仮想現実と本当の現実とを繋ぐ電話とかあったりする。それがなんか変なところにあったりする(笑)。「こんなところにこの電話があったのか」みたいな。あるいは、ちょっと忘れちゃったけど抜けるためのキーがなんか変なことだったりする。でもそういうことなんです。つまりこの夢の世界だから一応つじつま合った完璧なもののような感じがするんだけど、実際はちょっとバグがあるんです。バグというか抜けるための秘密の裏技みたいなのがある。で、それがどこに隠されているか分からないんですね。
 いつも冗談みたいに言うけども、もしかすると――例えば皆さん真面目にこうやって「さあアーサナだ、呼吸法だ、あるいは教学だ」ってやっているけど、もちろんそれは土台として大事なんだけど、実は一番最後のキーとして例えば、じゃあY君の場合、「裸で横浜駅の前を十分間裸踊りしろ」と。これがキーかもしれない。そうすると例えばY君はもし全く帰依がなかったら、「そんなことできません」となる。次にちょっと小ざかしい感じだったら、ちょっと別の意味で理解するかもしれないね。「ああ、これはわたしの帰依を試している」とか、あるいは「恥ずかしがらせることでこういうのを浄化しようとさせているのかな?」とか思うかもしれない。でもどっちでもないんだね(笑)。じゃなくて、それ自体がキーだったりする。これがまさに、これは今のは極論ですけも、極端な話だけど、「聖なる師の導きはまことに理解し難い」と。ね。

share

  • Twitterにシェアする
  • Facebookにシェアする
  • Lineにシェアする