聖者になろう

　人間の心や性格、習性といったものは、実は実体がない。
　みんなが思っている以上に、あやふやである。
　アイデンティティ、つまり連続して「これが私だ」と思いたい根本的な自我意識があるが故に、我々はけがれを引きずりまくり、そこから抜けられないかのように思っている。
　どんなに汚れた心を持ったことがあったとしても、そんなことはどうでもいい。それは懺悔をすればいい。それはすべて過去のことだ。今のあなたは違う。
　今のあなたは完璧に、１００パーセント、聖者の教え通りに生きることができる。どうにでもなれるのだ。
　もちろん根本自我のアイデンティティの習性を、逆に利用することは良いことだ。つまり「私は聖者だ」「私は菩薩だ」「私は修行者だ」等のアイデンティティを連続して意識的に持ち続ける努力をするのだ。
　「本当は私はけがれている」なんて思う必要はない。本当などない。さっきは汚れていたかも知れないが、今この瞬間の「あなた」は、まっさらだ。一生懸命新しい「汚れた自分」を更新しているのは、あなた自身だ。
　だから無理矢理でも、最初は思い込みでもいい。聖者になろう。なり続けよう。それを一生続けられたら、あなたは本当の聖者だ。