慈・智・義・勇・徳
慈・智・義・勇・徳の五つがあれば、
悟りを目指す修行の道においても、現世の成功を目指す生き方においても、どちらも成功するだろう。
だから小手先の成功哲学やテクニックを学ぶより、一生懸命、この五つを磨くのがいい。
自分の弱いと思う部分を補い、強い部分を伸ばすのだ。
組織においても、これら五つのどれか一つずつでも十分にそなえている人物がそれぞれ集まれば、目的を達成する組織となるだろう。
慈とは情にあらず、また偏った偏見から来る一部の対象への愛護精神でもなく、すべての存在の幸福を願うことである。
智とは正しい知識を基とするが、それだけではなく、観念を超えた、内側からわき出る神の叡智である。
義とは、神、師、そして自己の使命に殉ずる覚悟、誠実さである。
勇とは無智の無鉄砲さではなく、何ものも恐れぬ心の純粋さから来る強さと、なすべきことを躊躇せずに全力で成し遂げる行動力である。
そして徳とは、善の集積であり、悪がないことであり、そして神の祝福を得ていることである。
この五つの中でもこの徳、神の祝福こそが、最も重要な要素であるといえる。
ヨーガでいうならば、義と勇はカルマ・ヨーガの道であり、
徳とはバクティ・ヨーガによって培われ、
智は正しい教学を背景としたジュニャーナ・ヨーガ、
そして慈とはまさに四無量心を背景とした菩薩の道(ボーディサットヴァ・ヨーガ)である。
ところで、この五つを高めて行くために不可欠な要素がある。
それは、仏教用語を使うならば、慚愧と不放逸である。
つまり、常に「自分はまだまだである」と謙虚に考え、反省を怠らない慚愧の心と、
たゆまずに努力し続ける不屈の精進、不放逸の心である。
この慚愧と不放逸を身につけ、
この五つを増大させていくことに人生の貴重な時間を費やしたならば、
修行の道であろうと、現世の道であろうと、
成功は約束されたようなものだ。