アディヤートマ・ラーマーヤナ(4)「御生誕の告示」
第二章 御生誕の告示
◎ブラフマーのヴィジョン
パールヴァティーは仰った:おお、世界の主よ! 私は本当に幸運であり祝福されております。私の願いと望みは、汝の恩寵によって叶えられました。私の複雑な疑問の結び目はバラバラに切断されました。
おお、主よ! 私の心はまだ、人の世俗の緊縛を破壊することができるラーマの真理に関する汝の甘露の言葉を飲むことによって、満足感の極限にまでは達してはおりません。
ラーマについての形而上的な真理と共に、要約したシュリー・ラーマの物語を汝から聞いたことで、私にとっても容易に理解できるように、その全詳細を聞きたいという思いが私の心の中に生じました。
シュリー・マハーデーヴァはこう仰った:おお、女神よ! 一切の者の最も奥深くの魂の住人であられるラーマの物語を、かつて昔、私がラーマ御自身から聞いた至高なる秘密を聞きなさい。
では、今から私はお前にシュリー・ラーマの物語を語るであろう。この人間の三つの不幸を取り除き、無智によって生じる死の大いなる恐怖を根絶させ、繁栄、長寿、男の子孫を授ける物語を聞きなさい。
地球の神は、魔の大王ラーヴァナによって地球が沈もうとしていることに気づき、姿を牛に変えて、すべての大聖仙と神々と共に、創造神ブラフマーの世界を訪れ、眼に涙を浮かべながら、彼に地球の悲劇の運命を説明した。ブラフマー神は、すべての魂に心を合わせ、しばらくの後に、心の中でその状況を理解したのだった。
次に、四面の創造神ブラフマーは、大勢のデーヴァと地球の神を引き連れて、乳海へと向かった。そこで、信仰心の熱意のこもった震える声で、神への強烈過ぎる愛に刺激された歓喜の涙を溢れさせて、彼は、全智者であり、一切の者のハートの不老の住者であり、一切の主であるハリを、ヴェーダから引用した明快な言葉で表現された賛美歌を歌い、そして、古代の霊的な伝統の中で認められているものを用いて、呼び出し始めた。
するとハリは、東の方角に、一切の闇を払いのけ、千の太陽のように燦々と輝く光の中に顕現したのである。
熱心な懇願の後、ブラフマー神は、心が浄化されていない人々には決して見ることのできないハリのヴィジョンを得たのだ。彼のヴィジョンの中に御現れになった主は、インドラニラ宝珠(ラピスラズリ)のように光り輝いていた。ハリは、一対の蓮華のような眼で微笑まれ、王冠、真珠の首飾り、そして耳輪を身につけ、シュリーヴァスタの印やカウストゥバの宝珠などの輝きと共に光り輝き、サーナカ等のような聖仙によって讃え歌われ、従者に囲まれ、手に法螺貝、円盤、矛、そして蓮華を誇らしく示され、野花の花輪で美しく飾られ、金の聖糸と山吹色の衣を纏われ、シュリーとブフーに付き添われ、そして彼の乗りものであるガルーダに座っていた。この主の栄光あるヴィジョンを見て、ブラフマー神は、歓喜の感情で満たされた声で、彼を讃え始めた。
◎ブラフマーの賛歌
ブラフマー神は言った:おお、主よ! 私の全存在――身体、生命力、知性、感覚、心――をもって、汝の蓮華の御足に礼拝いたします。カルマの絆から解脱したいと切望する者たちによって絶えず瞑想される汝の蓮華の御足に礼拝いたします。
三グナで構成された汝の不可思議なる御力マーヤーの効力によって、汝は宇宙を創造し、維持し、破壊されます。しかし、これらの行為によって、汝の至高なる至福の意識としての本性は少しも影響を受けることはありません。
人々の罪深き心は、汝の聖なる御名への信仰をたゆまず修習する者たちの場合に起こるようには、単に慈善や聖典学習のような善行によってでは、効果的には決して浄化されないでしょう。
私が突然心の中で垣間見、献身的な聖仙方が礼拝することを望まれる汝の聖なる御足が、私の心の一切の悪い性質を根絶されますように。
創造神である私のような者が、われわれの目的の達成のために――例えば私の場合には創造の力を得るために――まず最初に礼拝する汝の御足が、汝御自身の直接的な経験の獲得のために放棄を与えられた者たちに知られることによって、彼らの心の中で熟考されますように。
汝のコンソートであり、繁栄の女神であるシュリー女神は、汝の胸に住処を持っているにもかかわらず、まるで僚妻(一人の夫を共有する妻達)のように、帰依者によって捧げられ、汝の御足を占領する聖なるトゥルシーの花輪に嫉妬します。(なぜなら主は、信者によって捧げられた質素なトゥルシーを好むので。)
したがって、成熟した智慧を有する汝の信者は、汝が真の帰依者をシュリー女神以上に好むということを知って、信仰の最高のフォームであるバクティだけをずっと求めているのです。
したがって、私が今まで以上に汝の蓮華の御足への信仰で祝福されますように。輪廻に存在しているという熱病によって打ちひしがれた者にとって、バクティほど効果的な薬剤は他に存在しません。
◎主が降誕される
このように主を讃えていたブラフマー神に、至高なる存在ハリは語りかけ、彼のために何をすべきかを尋ねられた。主のこの返答に歓喜して、ブラフマーはこう言った。
おお、至高なる主よ! プラスティヤの一族のヴィスラヴァの息子であるラーヴァナという強力な悪魔は、私が彼に与えた必ず叶う恩寵が原因で、傲慢で大胆不敵となり、今や全世界にとっての脅威となり、三界とそれらを守護する天人を恐ろしい支配下においております。おお、吉兆なる主よ! 私は、彼の死は人間によってのみ果たされると宣言してしまいました。ゆえに、おお、主よ、人間の御姿で化身され、天人たちの敵を滅ぼしてください。
至高者は仰った:プラジャーパティ・カーシャパはかつて、苦行によって私を懐柔した。彼の懇願に答えて、私は彼の息子として生まれることを承諾した。そのカーシャパは今、ダシャラタ王として地球に生まれている。
私は彼の妻カウサリヤーの胎内に宿り、彼の息子として人間の姿で化生しよう。彼の他の二人の妻には、私の本質そのものが三人の子供(一人の妻の中に二人、もう一人の妻の中に一人)として降誕するだろう。
私が降誕するとき、私のヨーガ・マーヤーは、ジャナカの娘シーターとして生まれるだろう。彼女と共に、私はあなた方の目的を達成しよう。
そのように仰って、主マハーヴィシュヌは皆の前から姿を消した。それからブラフマー神はデーヴァたちにこのように言った。
マハーヴィシュヌがラグの王家に人間の御姿に御自ら降誕される。
あなた方全員は、ヴァナラ族(猿族)の中に転生し、主ヴィシュヌが御自身の使命を果たすために地球におとどまりになる限り、主ヴィシュヌの助力者となりなさい。
このようにデーヴァたちに語り、母なる地球を安心させ、ブラフマー神は平穏な心持ちで、サティヤローカへと帰っていった。
そしてデーヴァたちは、この聖なる使命において、彼の助力者となるチャンスとハリの降臨を心待ちにしながら、さまざまな場所に、武器として山や木を使って戦うことのできる猿の姿で転生したのだった。