アディヤートマ・ラーマーヤナ(2)「シーターがハヌマーンに与えた教え」
◎シーターがハヌマーンに与えた教え
このより一層の精巧さの中で、私は、ラーマ、シーター、そしてハヌマーンの間で為された対話をお前に語ろう。それは、綿密に守護されてきた得難き秘密――解脱に達するための手段に関してのことである。
昔、ラーマーヤナの物語が執行された。英雄の戦士ラーマが、神々の敵ラーヴァナを、彼の一切の息子、兵隊、乗り物もろとも破滅させた後、シーターと共に、ラクシュマナ、スグリーヴァ、そしてハヌマーンに率いられた猿の将兵たちに付き添われて、アヨーディヤーに帰還された。
あまたの太陽のように光り輝く聖なる王ラーマが、聖仙ヴァシシュタのような偉大なる者たちに囲まれて、王座におつきになられた。
そこでラーマは、彼の与えたすべての使命を果たし、無欲で、叡智への熱望を持ち、ラーマの前に高尚に手を合わせて礼拝するハヌマーンを見られたのだ。ラーマは彼を見るや立ち上がり、シーターにこう仰った。
「ハヌマーンに、至高なる真理の叡智を与えなさい。彼はいかなるけがれも持っていない。そして彼はわれわれに永遠に仕えるだろう。彼は霊性の光を受けるに相応しい器なのだ。」
真我に関する無智をもって全世界を迷妄に陥れる主の力であるシーターはそれに同意し、主の御足への真の霊性の帰依者であるハヌマーンに、説得力のある方法で、ラーマについての真理を開示されたのだ。
◎ラーマの真の本性におけるシーター
シーターはこう仰った:ラーマを、至高なるブラフマン――実在の叡智の至福の絶対者、ニのない一なる者であると理解しなさい。彼は一切の付属するものを持たない純粋なる実在、対象を知覚しない感覚を持つ者なのです。
ラーマを、純粋なる至福として、一切のけがれを持たぬ者として、シャーンティとして、不変なる実体として、無智という汚点から解放された者として、一切に遍在する魂として、一切の無価値なるものを持たぬ者として、自ら本性を明かす意識として理解しなさい。
私を、宇宙の創造、維持、破壊の物理的・手段的な原因である原初のプラクリティであると理解しなさい。至高なるブラフマンであるラーマの存在の中でのみ、彼のプラクリティ(力)である私は、飽くことなく宇宙を創造するのです。
私が彼の存在の中で創造するものを、無智なる者は彼の上に重ね合わせます。
彼は、ラグの純粋なる一族として、アヨーディヤーで御誕生されました。
彼は、ヴィシュヴァーミトラが悪魔の邪魔を排除して儀式を安全に行うことができるよう、手助けをされました。
それから彼は、アハーリヤーにかけられた呪いを解放されました。
次に彼は、わが父君であるジャナカの王室にて、マヘーシュワラの大弓をバラバラに破壊されたのです。
その後すぐに、彼は私との結婚式を執り行われました。結婚の後、アヨーディヤーに帰る途中で、パラシュラーマの傲慢の鼻をくじかれ、そして私と共に十二年間、アヨーディヤーで暮らされたのです。
それから、ダンダカの森への追放を受け、ヴィラーダを滅ぼされ、続いて鹿の姿でわれわれを惑わしにやってきたマーリーチャを殺戮され、そしてその後、マーヤー・シーターはラーヴァナによって誘拐されたのです。
次に彼は、ジャターユとカバンダ(ダヌ)に救済をお与えになり、女性苦行者シャバリの献身的な礼拝をお受け入れになって、そしてスグリーヴァと契約を結ばれたのです。
ヴァーリンを殺した後、シーターの探索を始め、大海に石の橋を架けられ、ランカーを包囲し、攻撃を仕掛けられました。
次に、悪意に満ちたラーヴァナを彼の一切の子孫もろとも破滅させ、ランカーの王国をヴィヴィーシャナに贈られ、プシュパカという空飛ぶ乗り物に乗って、私と共にアヨーディヤーに向けて出発なさり、ついに、アヨーディヤーの王として戴冠されたのでした。一切のそれらの達成は、私(プラクリティ)によって果たされるにもかかわらず、真に不変なるものそのものであり、一切の存在の魂であるラーマの上に重ね合わされるのです。
ラーマは歩くことなく、座ることなく、苦しむことなく、欲することなく、放棄することがありません。――彼の中には、いかなる活動の痕跡も存在しないのです。純粋なる至福そのものであり、彼の中には動きはなく、変化もありません。彼が彼の無常なる本質であるマーヤーの基盤であるように、彼はマーヤーの構成要素の一切のそれらの変化の根底に、それらの基盤として存在します。そして、マーヤーの無常という構成要素からその基盤を識別することのできない者たちにとって、彼は変化するように見えますが、実際はそれはただ、変化を起こすマーヤーの構成要素に過ぎないのです。