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2011年インド修行旅行記(21)「ラーマの弓」

 トゥルシーガートは、その寺院の近くにあり、すぐに見つかりました。するとそこにいたインド人が、すぐそばにトゥルシーダースが住んでいた家があると言うので、行ってみることにしました。
 それは割と大きめの、寺院のような家でした。玄関を入ると中にはいくつかの祭壇があり、それらに礼拝した後、ガイドを買って出たインド人が、何か秘密の抜け道のようなドアを開けました。彼いわく、普通はここから先は入れないが、特別に見せてあげる、ということでした。
 その小さな隠しドアのようなものをくぐると、中はまるで忍者屋敷のように、入り組んだ造りの廊下があり、奥の方に広いスペースと祭壇がありました。外は暑いのですがその中はなぜかとても涼しく、おそらく風が循環するように考えられた造りになっていたのかもしれません。何だか不思議な空間でした。

 その後、もう時間がなかったので、沐浴はせずに帰ろうかとも思いましたが、やはりガートを見ると沐浴したくなり笑、皆でトゥルシーガートで沐浴することにしました。

 しばらく皆で沐浴していると・・・・・・とても不思議なことが起こりました。

 我々のヨーガ教室で賛歌の作曲や演奏を担当しているYさんが、ガンガーに花輪を捧げました。するとその直後、その水の中から、何かが浮かび上がってきました。
 私はそれをYさんから受け取り、掲げてみると、それはまあ、木の枝だったんですが、いい感じの長さで、いい感じに湾曲していて、まるでラーマの弓のようでした。

 それを見た現地のインド人も興奮して、「これは弓だ! ガンガーのギフトだ!」と言っていました。

 我々もこの思わぬプレゼントに大変興奮しました。

【ガンガーに花輪を捧げると、弓が浮かび上がってきた衝撃映像】

 さて、この弓、その後、日本にも持ち帰り、今はヨーガ教室の祭壇に祀ってあるのですが、ますます湾曲して、ますます本物の弓のようになっています笑。
 さらには、実はいつのまにか弓の一部が折れてしまっていたのですが、その後、インドの3Dアニメの「ラーマーヤナ」を見たところ、ラーマがシーターと結婚するときに弓を折るシーンがあるのですが、その折れている箇所が、全く同じだったのです。そこで我々は「これもラーマが折ったんだね」と、妙に納得してしまいました笑。

 また、帰国後、例のラーマの寺院で歌われていた賛歌のメロディをアレンジしたものと、ヴリンダーヴァンで浮かんできたメロディを合わせて、Yさんが曲を作りました。そしてそれに私が詩をつけました。

 私が歌の詩を作るとき、最初に詩を作ってそれに曲をつけてもらう場合と、最初に曲があってそれに私が詩をつける場合とがあります。
 今回は後者だったわけですが、その場合わたしは、詩の構成を考えたり、こういう詩にしようとか考えることはあまりありません。

 ではどうするのかというと・・・・・・何とも表現しづらいのですが、もともと決まっているそのメロディの詩を感じる、あるいは思い出す、という感じです。
 今回もそうでした。Yさんが作ったその曲には、明らかに、もともと決まっている詩がありました。私の作業は、瞑想に入り、それをできるだけ正確にこの世にあらわすことでした。

 実は最初、この曲が、クリシュナの聖地であるヴリンダーヴァンと、ラーマの寺院の両方にまつわる曲だと聞いて、クリシュナとラーマが両方出てくる詩にしたらいいかな、と考えました。頭ではそう考えていたのですが、曲に心を合わせて出てきた詩は、ラーマの歌になりました。やはり今回はラーマの祝福が強かったようです。

 しかも本音をいうと、最初に私がこのメロディを聞いたとき、正直、あまりパッとしないなと感じました笑。それは作曲者のYさんも同じだったようで、何か自信なさげでした笑。しかし詩が浮かんできたので、録音することにしました。
 まずピアノ演奏を録音し、それにヴァイオリンと笛の音をつけました。そしてそれに私が歌を載せて録音しました。
 この時点でも、この歌はどういう感じなのか、作っている本人たちもよくわかっていませんでした。

 しかし、一応完成し、それを聞いてみると・・・・・・とても素晴らしい曲に仕上がっていて、びっくりしました笑。

 いろいろ試行錯誤を重ねながら、だんだん良い曲になっていくというのならわかるのですが、その途中のつじつま合わせの部分をすっ飛ばして、神様がいきなり最高の曲に仕立て上げてくれたような、狐につままれたような感じでした笑。

 このようにしてできあがったこの不思議な曲は、今では我々の中で最も人気のある曲の一つになっています。
 私もこの曲は大好きで、歌っていると、小さな事やエゴに基づいた様々な事は、どうでもよくなってきます笑。心が神に向かい、晴れ晴れとしてきます。
 やはりこの曲も、あの弓と同様に、ラーマからのプレゼントだったのかもしれません。
 

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