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過去・未来・今と、三つの生き方


 無明というのは、ある意味では、過去にとらわれる心といってもいいでしょう。
 好き・嫌いというのも、過去の経験からの偏見です。
 無明から来るあらゆる苦しみと喜びは、過去の経験から来る妄想です。

 カルマの法則を知る者は、過去ではなく未来を見ます。
 なぜなら、過去はすでに終わったものであり、また、過去にとらわれるなら、また新たなカルマを作り出してしまうと知っているからです。
 現在の自分の状況はすべて、過去のカルマの結果に過ぎないと考えます。ですから現在の状況に不満を持たず、とらわれることもなく、ただ未来を見据えて、正しい思い・正しい言葉・正しい行ないに励みます。これは未来への「正しい期待」ですね。

 さらに深い真理を知る者は、過去にとらわれず、未来を期待することもなく、ただ今、この瞬間を、全力で、最も神聖に、悔いなく、集中して生きることに専念します。
 なぜなら、時の流れは幻影であり、本質的には「今」しか存在しないことを知っているからです。
 これはもちろん、「今さえよければいい」という退廃的な考え方とは違います。
 真の「今」の中には、過去も未来も包含されているんです。そういう意味で「今」しかないんです。

 ただし実際的には、三番目の考え方を悟り、実行するのは難しいですね。ですから二番目の、カルマの法則の理解により、過去へのとらわれを断ち切り、未来のために正しい生き方をすること。これをまずベースに置いたらいいと思います。
 そしてその上で、「今」この瞬間に集中する生き方にもトライしていったらよいのではないかと思います。

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